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「……っ、…んんっ、
ふぁ……っっ」
僅かに触れて、一度油断させるみたいに離れ
たそれが二度目は深く重ねられ、ぬるり、ぬ
るりと遠慮も無く口内を絡めとる。
手にしていたマグカップが落ちて、僅かに残
った紅茶がベージュのラグに染みを作った。
小さいけれど芯のある知念の身体は、純度の
高い鉛のようで、僅かな抵抗さえ許さないと
ばかりに俺の肩をグイッと押さえ付けて離さ
ない。
ほとんど跨がる体勢で、知念は俺を押し倒し
暫くの間大人のキスを続けた。
にゅるんっ、
生々しい音をたてながら舌を抜き取った知念は、涼しい顔で真上から俺を見下ろした。
「ねぇ、涼介。
いのちゃんなんてやめて、僕のところに
おいでよ。
ここで一緒に暮らせば良いんだ。」
知念の肩越しに映る真っ白な天井。
無機質な昼光色がこの部屋をより寂しくして
いる。
何度も訪れているのに、今更ながらそんな事
を思う。
「……ち、ねんが 言ったの?
俺が大学に行かないこと、 」
一年かけて悩み抜いた俺の決意の全てを知る
のは、
知念だけ、だ。
「…いのちゃん、真っ青になってたよ。
涼介をあの人の代わりとしか思って
なかった癖に勝手だよね。」
口角を上げてニコッと楽しそうに笑う知念。
しかし表情に反して、その声色は震えていた。
俺のシャツに掛けられた指先に力が籠る。
「いのちゃんが悪いんだよ…、
ずっと前から涼介は、僕のものなのに。
ねぇ、僕を置いていかないでよ…っ」
聞いた事のない絞り出すような知念の声。
俺は何にも知らないで、馬鹿みたいに知念に
頼って、相談して、親友だと思ってた。
傷付いていたのは、
知念も同じだった。
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ぴよ(プロフ) - あいとさん» あいとさん、ありがとうございます( ´∀`)凄く久しぶりに二人に想いを馳せてみました。私もここ迄辿り着く過程を思うと万感の思いです。幸せに過ごしてほしいなぁ♪ (2018年6月25日 12時) (レス) id: 20d979f9fd (このIDを非表示/違反報告)
あいと(プロフ) - ぴよさん!ろくでもない夜にファンの私にはとても嬉しいお話でした!この日までよく頑張ったね二人…、いのちゃんこれからは大好きな人にだけ甘やかしてもらうんだよ…となぜか親心…(笑)素敵なお話ありがとうございました! (2018年6月24日 7時) (レス) id: 6689a85a28 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - にゃーごさん» にゃーごさんこちらにもありがとうごさいます。このお話は当然完璧なフィクションなのですが、その中でも心の動きがなるべく自然に繋がる様にそれぞれの気持ちを想像して書きました。同じ様に感じて貰えて嬉しいです( ´∀`)妄想は最高ですね 笑 (2017年4月28日 22時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーご - ぴよさん こんにちは。私がぴよさんに夢中になった作品は実はこの作品でした。あの子は実はこんな気持ちじゃないかな?なんて妄想が広がった時に胸にトンと降りてきてもう、ぴよさんワースドから抜け出せません。 (2017年4月28日 9時) (レス) id: a963f855a1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 綺更さん» コメありがとうごさいます。最後まで読んで下さってとても嬉しいです。私も書きながらもどかしく、皆を幸せにしてあげれるのか不安になったりもしたのですが、無事完結出来てホッとしています。涙ぐんで頂けたの事で感激です!また面白いお話をお届け出来る様頑張ります (2017年1月14日 3時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
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