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18歳、高校3年生。
受験生となった俺は、必死に勉強に励んで
いた。
第一志望は、慧の大学のほど近く。
同じ大学は難しいけど、何としても一緒に
暮らしたい。
合格出来れば、二人暮らしが待っている。


「裕翔、頑張ってね。一緒に暮らそう。」

慧の言葉が俺を突き動かしていた。
せめて慧の近くにいたい。
例え今は、薮くんのものであったとしても。

この頃には、慧が色付いた理由を理解できる
くらいには、俺も大人になっていた。

慧は、薮君に抱かれて変わっていった。
俺には、決して許されない行為だ。
倫理と道徳でがんじがらめに縛られた“兄弟”
である俺たちには。


そして俺は、大学に合格した。
両親も慧も薮君も喜んでくれて、俺は遂に
大学生になったのだ。
3歳違うと中学も高校も重ならない。
いつも慧は、ひとつ先に進んでしまう。
慧は大学4年生。俺は、大学1年生。
少しだけ追い付いたみたいで嬉しかった。

2LDKのアパートに越しての二人暮らし。
ひとつ屋根の下での生活に俺の心は踊った。
始まってみれば、大学も学年も違うため
生活リズムはバラバラだった。
1年生の俺は、必須科目が詰まっていて
連日朝から登校。
4年生の慧は、ほとんど授業は無く、ゼミに
出席するくらいで朝も遅い。
お互いにバイトも忙しく、ゆっくり過ごす
時間は少なかった。

それでも、慧の近くにいるだけで、俺は
妙な幸福感を味わっていた。
この三年間は、慧を見送るばかりだった。
必ず同じ場所に帰って来る、それが俺の心
を穏やかにした。


“慧を手に入れたい”と願っても、何が出来る
訳でもない。
兄弟間の恋という禁忌を破れる度胸も術も
俺は、持ち合わせてはいなかった。
薮君もたまに遊びに来ていたけど、弟と二人
暮らしのアパートで行為に及ぶほど不粋では
ないらしく、そういった気配を感じることも
なかった。

俺は、すっかり油断していた。
兄としての慧を取り戻した気になっていた。


居酒屋でのバイトの日、
シフトが重なり、急遽早上がりになった。
20時過ぎ若干のてもちぶたさで帰宅すると、
玄関に見慣れた靴が並んでいる。

……薮君、来てたんだ。

廊下もリビングも真っ暗。
クーラーの振動音だけが響く。
光が漏れるのは…、慧の部屋。
僅かに開いたドアの隙間から、これまた僅か
な常夜灯の光。

そこまで来て、俺は初めて立ちすくんだ。
漏れ聞こえるシーツの波立つ音、重なり合う
吐息、肌と肌のぶつかる様な音……

そして、
慧の艶やかな喘ぎ声、、、

俺は、隙間に目を凝らした。

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設定タグ:Hey!Say!JUMP , BL   
作品ジャンル:恋愛
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ぴよ(プロフ) - けいままさん» たくさんのコメントをありがとうございました!!ゆうと君を登場させる時は漏れなくけいままさんをおもっていました 笑 妄想ではありますがなるべくその世界に浸れるような描写を心掛けていたので、そう言って頂けてとても嬉しかったです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - ゆややさん» たくさんのコメントありがとうございま した!!無自覚シリーズは私も大好きで、自由奔放ないのちゃんを書くのはとても楽しかったです♪また続きをお届けしたいなと思ってます。次のお話も宜しければお付き合い下さい( ´∀`) (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 夏夢さん» たくさんの楽しいコメントをありがとうございました!!お陰様で30話書ききることが出来ました。私もアナログ人間なので捲って楽しむ本が大好きです。たまに読み返して頂けたら嬉しいです☆ (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - えりささん» ありがとうございました!えりささんのコメで思い立ったたかいのは、今や大好きなcpです☆えりささんの作品も楽しみにしています。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: 515f116419 (このIDを非表示/違反報告)
けいまま(プロフ) - 完結。素敵なお話達ありがとうございました。美しいJUMP君たちが繰り広げる美しい文章の妄想世界。ページを辿るとその世界の空気に触れられるようで、とても楽しませていただきました。最期に長身イケメンのお花屋さんありがとうございます。 (2016年8月30日 22時) (レス) id: d225e5d52f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよ | 作成日時:2016年7月25日 19時

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