普通に ページ47
…
『ただいま』
力なく玄関にたどり着く。
そんな私とは裏腹に『おかえり〜』と呑気に言う藤井くん。なぜそんなに呑気なんだ。君はこの事件の張本人ではないのか。
また藤井くんは欠伸をする。
だからなぜそんなに呑気なんだ。
『それ、何読んでんの?』
今日のことに触れるのはさすがにタブーな気がして適当に藤井くんが読んでた本に触れてみた
藤井『虹色帝国ホテルのパンフレット』
『ぶっ……』
藤井『もー、汚いなぁ…』
私は口に含んだ水を吐き出した。
『何それ。あてつけ?』
藤井『はぁ?当て付け?普通に最終面接の練習しようと思っただけやん』
『……ん?』
えっと、つまり…
藤井くんがあんなに努力して、最終面接まで勝ち残ったホテルって言うのは
『虹色帝国ホテル……なわけ?』
……
藤井『まぁ、…』
……
藤井くん警備員に止められたとか言ってなかった?
それって…やばいんじゃない?
『それって……大丈夫なの?』
藤井『うーん、大丈夫なんやない?』
今回ばかりはこの男の楽観的主義的な所に呆れた。
でも……私のためだったわけだし
なんか申し訳ないというか…
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作者名:ぷよ | 作成日時:2019年3月14日 23時