【WT】根無草は夜明け色の夢を見る【Br】 (ページ50)

今日:18 hit、昨日:0 hit、合計:11,134 hit

49話ページ50

.

『……』

誰もいなくなった家。
乱れた髪を整えながら、彼らが出て行ったばかりの扉を眺める。

『(…おかえり、と言ったら喜ぶのかな…)』

「いってらっしゃい」も「おかえり」も私が言う資格なんてないのに、Broooockの嬉しそうな顔を見たらついそんなことを思ってしまう。
ここで過ごして、Broooockやみんなと関わってから余計なことばかり考えてる気がする。

『はぁ…』

誰もいない静かな空間に小さな溜息が消えていく。
今日はスマイルさんが私の見張り役らしい。遅れるってどのくらいだろう。
…正直、今この瞬間に、出ていくこともできる。
でも、出て行ったらBroooockは………………

『…やめよう』

そっ、とリビングへと踵を返した。

何もやることがない。

大きなダイニングテーブルに突っ伏した。
チッチッ、と規則正しくリズムを刻む時計の音が静かな部屋にやけに響く。
それが“誰もいない”という現実をいやに知らしめてくるようだった。

『ふぁ……』

結構寝たはずなのに、まだ眠たい。
家を出てからよく眠るようになった。
睡眠はいい。なにも思考しなくて済む。なんの外的要因の影響も受けない。
私だけの、たった一人の時間だ。

『(寝よ…)』

余計なことを考えてしまうなら、安らかな暗闇の中に落ちていくほうがいい。

.

中途半端ですが、話数が満杯なのでここで続編に移ります。