検索窓
今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:11,132 hit

33話 ページ34

.

正直、Aにどう接したらいいのかわかんねぇ。

気まずいし、何話したらいいのか全くわからない。
Aと同じ空間にいるのが居たたまれなくなって、編集すると言って部屋に逃げ込んだ。こもったはいいが、逆に落ち着かなくなってしまって、パソコンもつけないまま結局部屋を出たってわけだ。
リビングに行ったらソファの上で丸まって座ってるAがいて、その背中がやけに寂しそうに見えたから、つい声をかけてしまった。
…最初見た時から思ってたけど、Aを見てるとなんか落ち着かねぇんだよな。

Sh「あ゛ッ」

考え事してたらミスって敵の攻撃に当たってしまった。赤帽子のおっさんが情けない効果音とともに落ちていった。
リスタートしようとする画面から目を離して、俺の横でスヤスヤと眠るAを見る。
細い肩が小さく上下し、規則正しい呼吸を繰り返している。日が照らす肌はなめらかで綺麗だが、少し血色が悪いように見える。
…そういえば、昨日も今日もメシあんまり食ってねぇよな。きりやんがマズいのかなぁって珍しく不安がってたな。

Sh「……、…うぉっ?!」

ボーッと見ていたら、小さな頭がガクッと下がった。
その衝撃で起きたのか、Aはゆっくりと頭をあげて重たそうな瞼を開いた。

『…ぅ、んん、』

Sh「眠いならまだ寝てれば?Broooockまだ帰ってこねぇし。腹減ったんなら飯食うか?」

Aは目を擦りながら首をふるふると小さく振った。だろうな、とは思った。

『すこし、ねます……』

Sh「どーぞ」

寝ぼけた声でそう言ったあと、俺と反対側に体を倒して、膝を抱えて小さく丸まった体勢で寝た。その姿は外敵から身を守ろうとする小動物のように見えた。
あ、寝るならBroooockの部屋いけって言うべきだったか?…まぁ、もういいか。目が届くところにいたほうが逆に安心するか。
ソファの脇に落ちていたブランケットを見つけて、小さな体を包みこむように掛けてやる。

『…、ぁぃがと…』

Sh「っ!お、おぉ…」

ふにゃふにゃと舌足らずに礼を呟いた彼女は、再び小さく寝息を立て始めた。
その微かな呼吸音を聞きながら、再びコントローラーを手に取った。

柔らかな日差しが部屋全体を包み込む。よくわかんないヤツと二人きりの空間。まだ気まずさはあるし、穏やかとも、心地が良いとも言えないが……そんなに悪くもなかった。
気持ちよさそうな寝息と、少し控えめな操作音が響く中、静かに時が流れていった。

.

34話→←32話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
46人がお気に入り
設定タグ:WT , 白尾 , 実況者   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おやすみこ | 作成日時:2021年12月1日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。