【WT】根無草は夜明け色の夢を見る【Br】 (ページ22)

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21話ページ22

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———体にかかるわずかな重みと、包み込むような暖かさに気づき、目が覚める。

なんとなく目線を下にやると、布団が掛けられていた。僕が寝るときに使ってるやつだった。

Br「(…ぁ、れ……？)」

起き上がってベッドに目を向けると、Aちゃんになにも掛かっていなかった。壁のほうに体を寄せて丸くなって寝ている。

Br「……。優しい子なんだね…」

自分だって寒いだろうに。
僕の身を案じて掛けてくれたんだろうが、布団をAちゃんの体にふわりと掛け直した。
わずかに身動ぎしたが、眠りが深いのか起きなかった。

目元にかかった髪をそっ…とはらう。あらわになった横顔は、昨日と同じで苦しそうだった。

Br「…ねぇ、君はなんでそんなに苦しそうなの」

一体なにが彼女を苦しめている？

光もなにも灯さない虚(うつ)ろな瞳。今までどんな生活を送ってきたのか、不健康そうな肌の色に、華奢(きゃしゃ)な体。生気のないか細い声。

彼女を見ると、キュッ…と胸が締め付けられる。

Aちゃんを心から笑わせる。
きっと一筋縄じゃいかないんだろう。

でも、助けたい。

世間から見放されたかのように孤独を滲ませた顔を、明るい笑顔に塗り替えたい。
差し伸べた手を何度振り払われ、拒絶されても、僕は君を見捨てたりなんかしない。絶対に。

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