桜と苺の神隠し

肆拾陸話 ページ49

ころんside


寝過ぎて頭がぼーっとする。

ベットから起き上がれば、深く切られたはずのお腹の傷が綺麗さっぱり消えてる。

両肩の痛みもない。骨も治ってるみたい。

神子の再生能力えぐいな。
あとめっちゃお腹すいた。


着替えてから歯を磨き、顔を冷水でバシャバシャ洗ったら少し気分がスッキリした。

食堂に行けばジェルくんとなーくんがいた。



な「あ、おはよう〜怪我の調子は？」


こ「治った」


ジ「さすがサル」


こ「誰が猿だ」



こっちの世界でも僕は猿なのかよ。
ふざけんな。


なーくんが味噌汁と麦ご飯とおひたしを載せたお盆を運んできてくれた。

うん、質素。でも今はこれぐらいがいい気がする。



ジ「こんだけの大怪我で2日で起きて完治か。ころん、最短記録更新やで」



ジェルくんがみんなの負傷状態をまとめた資料を見ながら言った


こ「え、2日も寝てたの？じゃあ2人はいつ起きたの？」


な「俺らもついさっきだよ」


なーくんが報告書を書きながらそう答えた。
結構記入事項が多いみたいで、なーくんもちょっと手が疲れてるみたいだった。



こ「全く、パソコンでやればいいのに不便な時代だねぇ」


そう呟いて味噌汁を飲み干した。



ジ「ぱそ…？兄ちゃん、前から思ってたけど最近ころん語作りすぎじゃね？」



ころん語って何だよ。つか実在するものだわ。



こ「作ってねぇよ。僕が前いた世界の便利器具」


な「さとみくんもころちゃんも、『前にいた世界』の事よく言うよね。ちょっと教えてくれない？」



なーくんが手を休めてニッコリ笑いながら尋ねた。
令和の世界について教えて欲しいって事だよね？


こ「えっとね、手のひらぐらいの大きさの板みたいなやつで世界中の人と会話ができたり」


ジ「すげえ楽しそう」


こ「小さい箱の中に人がいて、その日あった出来事とか明日の天気を教えてくれたりするの」


な「仕組みが気になるね」


こ「あと、ボタンひとつでお米が炊けたりするんだよ！すごくない！？」


大正の人達にもわかりやすく令和の電子機器の説明はできたと思う。
因みに上からスマホ、テレビ、炊飯器の説明ね。
ドヤっていたら2人が急に立ち上がった。


な「うんうん、それはすごいね！じゃあころちゃん行こうか」


こ「え、どこに？」


ジ「決まってるやん、脳外科」


こ「教えてくれって言ったのそっちだろ！」


異端者扱いは酷いよね。
両腕を振り回して2人を追いかけ回した。


今日も平和でいいな。

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