桜と苺の神隠し

プロローグ ページ1

ななもりside


春。


外は柔らかな日差しに包まれ、


朝からぽかぽかといい天気だ。


ふわぁぁぁ…と大きなあくびが思わず飛び出た。


あぁ、平和だなぁと思い、テレビを見る。


【ーーーー東京では、桜が7分咲きになりました。本日も〇〇公園はお花見をする人たちでーーーーーー】


お花見かぁ、と思いながらコーヒーを啜る。


そういえば、みんなで最後にお花見したのっていつだっけ？


最近ニュースではお花見の特集でもちきりだ。


みんなでお花見したいなぁ！そう思って



な「お花見行こうよ！」



と次男の莉犬くんに話しかけてみたら



莉「…っあー、お花見行こうってさ、さとみ」



といった具合に弟に話を投げた。


いや、酷くない！？


でもさとみくんなら…と思って


ソファに寝転んでゲームをする三男を見ると



さ「え、あ、お花見行こうだってさ、ころん」



と次男と全く同じ反応を見せた。


何でだよｫｫ！と心の中で藤原◯也のモノマネをしつつ


バナナを口いっぱいに頬張る四男に


期待の眼差しを向ける



こ「バナナだってさジェルくん」



ゑ？ちょっとまって、何でそうなった？



ジ「バナナらしいよるぅちゃん」



嘘でしょ。唯一の常識人、五男のジェルくんまで…


ってかどんだけお花見行きたくないの！？



る「バナナなんですか？なな兄」



キョトンとした顔で尋ねてくる末っ子。可愛い。


いやいやいや……そうじゃなくて…



な「バナナじゃねえよ！」



思わずツッコミを入れる。


どんなに説得してもお花見は面倒なのか、


みんな行きたがらない。


絶対楽しいのになぁ…


いつも通りわちゃわちゃしながら


お花見に行くか行かないか話しをしている。


こんな日常が楽しい。幸せだな、なんて思う。


結局いつも通りくじで決めた。


明日、みんなで楽しくお花見をする事が決まって、


なんだかちょっと嬉しい。


ワクワクしながら準備を進める。


みんな、行くと決まってから反対してた割に


ウキウキしているようでいそいそと準備を進めている。


そんな弟たちが可愛らしいと思ってしまうのは


親バカなのだろうか。


いや兄バカかなんて1人で苦笑した。


明日に備えて早く寝ようと


弟たちをなんとか布団に入らせて部屋に向かう。


目覚ましなど翌日の準備をし、


明日が楽しみだとワクワクしながら眠りについた。

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