何十年とも感じるほど ページ13
立ち上がると、黒霧もつられるように立ち上がる
「それはご不幸な･･･」
「そうだね、世間からしたら不幸な事故だね」
僕は壁に寄りかかり、足元を見ながら言った
「僕の家族は事故でなくなった
でも、それは事故なんかじゃなかった
ヒーローがヴィランとの交戦中、たまたまヒーローによってふっ飛ばされたヴィランが僕の家族が乗っていた車に激突したんだって」
黒霧は黙ったままだった
「不謹慎な話をして悪かったね
帰りな、死柄木が待ってるよ」
黒霧は動かず、僕の方をじっと見つめた
「…悲しく、ないのですか」
どこか寂し気な声で問う
「何が？」
「家族、と言うのは少なくとも大切な人だと思います
貴方は…大切な人を失って辛くはなかったのですか？」
僕は即答で返した
「別に？全くってわけではなかったけどね
そういえば親を亡くしたことについてやたらと聞いてくるね
黒霧、君は誰かを失ったことがあるのかい？」
淡々と僕が言うと、黒霧は少しうつむいた
「…ええ、ありますよ
両親でもなければ、親しい友人でもありませんでしたが…
…今の私を育ててくださった、とても大切な方です」
ふぅん、と興味なさげに僕は言った
「喪失感とかあったの？」
「…どうでしょう、あまり良く覚えていませんね」
考える恰好をしながら、わざとらしい声で言った
「そ、興味ないけど」
少し考えてから、僕は玄関に向かった
ついてくる黒霧に、背中を向けたままこう言った
「でも、少し気になるかも
今度聞かせてよ、その人の話」
少し遅れて「ええ、勿論」と言った
声色はどこか、嬉しそうだった
「また明日、黒霧」
「はい」
*
「大切な人、かぁ…」
黒霧のようなヴィランでもいる『大切な人』
「僕は家族を、大切な人としていたのだろうか…」
僕は枕に顔をうずめながらそう呟いた
時計の秒針が妙にゆっくりと聞こえる
家族を失ってから、時間が過ぎるのが遅く感じる
これは…喪失感からなるものなのだろうか――
+++++++
黒霧の過去はかぁびぃ(駄作者)様からお借りしました！
【ヒロアカ】黒霧さんの育成係
http://uranai.nosv.org/u.php/novel/kavikavi333/
素晴らしい作品をお借りさせて頂きありがとうございます！
また黒霧の過去編が出てくるかもしれません！その時はまたよろしくお願いします！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜桜瑠奈(プロフ) - スノーだるまさん» あ、ほんとですね…！ご指摘ありがとうございます！変更しておきます！ (2017年11月3日 20時) (
レス) id: 916f6525ff (このIDを非表示/違反報告)
スノーだるま(プロフ) - 3話目…個性は崩壊じゃないですか？ (2017年11月3日 20時) (レス) id: 1023204a37 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜瑠奈(プロフ) - かぁびぃ(駄作者)さん» 感じ取って、ですね(汗)こちらこそこの作品を最後まで呼んでいただき感謝！超絶感謝！です！ (2017年10月31日 19時) (レス) id: f4986fab66 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜瑠奈(プロフ) - かぁびぃ(駄作者)さん» ご愛読ありがとうございました！全体的に意味分からん文章になってしまった…と少し後悔しておりましたが、素敵な作品と言っていただき何とか伝わってる！と喜んでおります(笑)私の体験談も交えたりしていたので…何か感じ取った下さったのか、と震えてしまいました(笑) (2017年10月31日 19時) (レス) id: f4986fab66 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 完結おめでとうございます！意味深な終わり方で、その後を色々と想像させられる素敵な作品でした！最後まで丁寧な文で読みやすく、心に何か囁きかけるものがあってしんみりしました。素敵な作品をありがとうございました！ (2017年10月31日 18時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
