彼の空は青かった part3【アルスマグナ】【泉奏】

129曲目　泉side ページ36

執事「このジャケットを着る前に、腰の紐を調整してください。ケント様、調整の仕方が逆でございます」

ケント「ああ！こっちか！」

アキラ「執事さん、俺も助けて…」

執事「アキラ様。それを身に着ける前に、こちらを羽織ってください」

執事さんの指示が飛び交う教室

執事服を着る俺ら以外も男子は教室での更衣なのだが、注目は間違いなく俺らだった

執事「泉様は…大丈夫でございますね。以前どこかで着られたことがお有りになりますか？」

奏「いいえ。執事さんの説明を聞いていたら分かったので」

アキラ「ソレはお前だけだって…」

その見た目に反し、意外に構造が難しい執事服
着るのも一苦労で、アキラと先生は音をあげていた

これだけ難しければ、Aさんも大変だろう

奏「あの、Aさんは大丈夫でしょうか？」

執事「ご心配はいりません。榊原家の女執事が着付けに同行しているので」

笑いながら話す執事さんは俺に一つの箱を渡した

それを受け取りながら疑問に思ったことをぶつけてみる

奏「女性でも執事の方は居るんですか？」

執事「はい。取る資格によって執事かメイド、どちらとも選べるのです。それは、奏様が着けたら良いのではとタツキお坊っちゃまからの提案でございます」

箱を開ければ、片方レンズの眼鏡

よく、小説に出てくる怪盗などが着けている

グリップにかけて片方のレンズしか存在せず
端からは、耳に掛けるチェーンまでついていた

奏「これを俺が、ですか？」

執事「はい。眼鏡をかけていらっしゃいますが、眼は悪くないと話していらしたのを以前小耳にはさんだもので…」

奏「よく、ご存じで。では貸していただきます」

執事「とてもお似合いになるかと思います。さぁ、皆様も白手袋をお持ちください」

執事さんがアキラと先生に手袋を渡したとき、ガラリと教室のドアが開いた

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