一生君と二人っきりで...【逆先夏目】

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「 ほら、すぐ引っかかル 」




Aはボクを涙目できっ、と睨んだ


彼女に睨まれたのは初めてだ




Aには体が麻痺する薬を飲ませた


彼女が留学を考えていることを随分前からボクは知っていたからね



抵抗しようとした時用に作っておいてよかった





「 さぁ、行こっカ。二人だけの世界へ 」





ふわりと彼女を抱き上げて歩き始める




動けないくせに、必死に抗い、いやだいやだと涙で顔をぐちゃぐちゃにする



やがて、泣き疲れたのか、弱りきった表情でボクを見つめた




そんな表情ですら愛おしい



君には笑顔が一番似合う。だから泣かないで




なんて言うけれど、ボクは彼女の全ての表情が


可愛らしくて愛おしい




「 あっ、副作用が効いてきたかナ？ 」




丸っこい瞳は開いたり閉じたり、

このままボクに好き勝手やられるのも嫌なんだろう


眠らないように頑張っているが...




さすがに眠気には勝てなかった


子供みたいにすぅすぅ、とボクの腕の中で眠ってしまった




昔より、顔は大人っぽくなって、綺麗になった


だけど寝顔はあの時のまま



ずっと昔に二人で仲良く布団に潜り込んで寝た時があった


その時はAはまだボクを女の子だと思っていて、自身の可愛らしい服をボクに着せようとしていたっけ



二人で手を握り合って、彼女はこんなことを言った





「 夏目...離れないでね？絶対だよ？ 」




今、離れそうになっているのは君だよ






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