CRAZY 5 ページ5
「浦島坂田船って知っとるかなあ」
あまりの衝撃に言葉を失っている私をちらりと見て、まーしぃさんは言った。その間にも栗色の男が運転する車は進んでいく。……あれ、こっちの方って、たしか有名な高級住宅街だったはず……。
後ろへ流れていく景色を見ながら、ボーっとまーしぃさんが言った単語を頭の中で繰り返す。うらしまさかたせん、……浦島…?
「…、あ…、!!」
聞いたことがある。たまにテレビとかで流れてくる単語。そうだ、浦島坂田船…!
確か使用禁止の薬品を使ったり、自ら新たに薬を開発したり、とにかくヤバい事を平気で行う恐ろしい人たちだ。
「あ、聞いたことある?」
私が声をあげれば、まーしぃさんが少し嬉しそうに言った。なんだろう、やっぱり知名度高いと嬉しいんだろうか。よく分からないけれど、ちょっとまーしぃさんは苦手かも知れない。掴みどころがよくわからないから。誰だって掴めない人は好きではないだろう。
「はい、テレビで、何度か…」
「あーテレビね、まだサツは諦めとらんか」
まーしぃさんは、今度は少しめんどくさそうな愚痴と溜息零した。そんな事なら、最初から犯罪なんて侵さなければいいのに。きっと、そう思っても、私には到底理解できない様な理由なんだろう。犯罪者なんて、何考えてるのかわかんないんだから。
付いて来てしまったけど、もうなるべく関わらないようにしよう、と決意した時。少しエンジンを吹かして車が止まった。どうやら、目的地に着いたようだ。
私は赤色さんか金髪さんかのどちらかが降りないと降りれないので、2人が降りるのを待っていた。腰を浮かせてると早くしろみたいで嫌だし…、取り敢えず座って待っておこう。
「あー着いた。今日も疲れたわあ。諦め悪いんやから」
金髪さんがそう伸びをしながら文句を垂れる。そのままドアを開けて降りたと思ったら、私の方へ手を差し出した。余りにも自然な動作だったからそのまま手を取りそうになってしまったけど、よく考えたらこの人は犯罪者である前に異性だ。特に男の人への耐性があまり付いていない私は、金髪さんを見上げた状態で固まってしまった。
そんな私を見て、金髪さんはふっと笑った。
「お手をどうぞ?」
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夜桜(プロフ) - ぶぃ、さいんさん» わああ、ありがとうございます! レッドホット少ないですよね…、なので書いてしまいました() (2021年8月21日 16時) (レス) id: 5e351166ad (このIDを非表示/違反報告)
ぶぃ、さいん(プロフ) - 初コメ失礼しますありがとうございます(唐突な土下座)レッドホットの曲パロってあんまり無くて落ち込んでたんですけど心が救われました…!!!感動で情緒がやばいので日本語おかしかったらすみません…(( (2021年8月5日 22時) (レス) id: ecdadf7d60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜桜 | 作成日時:2021年4月14日 22時