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胡蝶「いいえ、あなたが悪いわけではありませんので」

『...』

姉さんは手を拘束され、念のためなのか、三人の隠と牢から出て行った。

『それで、また今日は何しに来たの?』

炭「な....何があったか教えて欲しいんだ。それにどうしてAとしのぶさんはここにいるのか...」



炭治郎side

『....仕方なかった』

重い口を開き、出た言葉がたったのそれだけだった...


『私がここに来たのも』

何も写すことのないその目は、以前どのように光っていたのか誰も知らない。

ラムネの中にあるビー玉のように、透明な目の色。

善「ここに来たのも...?」

『うん。柱にもならなきゃ良かった。弱いまま、何にも出来やしない』

炭「そんな...Aは『いいや』


そこから伊之助と俺は、黙って聞いた。

いや違う...聞く事しか出来なかった

『私はね、ここに来て柱になるまでも、ロクでもない野郎だった』

善「え....」

『今と何にも変わんない、力で何でも捻じ伏せる、忌み嫌われる存在だった。違うのは天辺なんかより程遠い、ヤクザに飼われたただの子供ってことくらい』

ヤクザに...?

『上の命令となれば、誰彼構わずやり(殺し)に行ったよ』

善「う、嘘....」


Aは首を横に振り、また下を向いて話した。

『...数え切れないほどの人間の命を、この手で奪ってきた。私は悪くない。飼われてるんだから仕方ない』

炭「....」

『餌にありつくためには仕方ない。都合の悪いことは全部飼い主のせいにした。そうしてずっと...四肢が吹っ飛びそうなほどに働き続けた』

『その時、カナエ姉さんに拾われた。7年前に、私をあいつらから連れ出してくれた。屋敷に着くとしのぶ姉さんが髪を洗ってくれた、カナヲが銅貨を見せてくれた。私は初めて喜怒哀楽を知り、人間の心が持てた』

善「そ、それで『鬼殺隊に入った。足を洗うために、今まで奪ってきた命を、罪を償うために』

“ニャー”

“し「ほらA。猫よ」”

『その時だった。飼い主に縛られ、雁字搦めになっているあの頃の私とは違う野良(猫)が、とても輝いて見えた』


“ほら、はやく食べな”

『いつの間にか、あの子にエサやるのが私の日課になってたよ。殺伐とした日々の中で、あの子と戯れている時だけ私は自由になれた気がした』


『それからだよ、私が変わったのは....』

『もう人は斬らないし、金品も奪わないって。いくら人を斬っても感じることのなかった命の重みってのを、自分で触れたほんの小さな命によって私は初めて知った』

命→←琥珀



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作者名:ラムネ | 作成日時:2020年6月13日 20時

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