【10月編】もしも仮装した姫ちゃんが現れたら【新開隼人】 ページ6
「さて。今日もウサ吉に会って帰るか」
練習後、俺はいつも通りウサ吉の小屋に向かった。
もう日が傾いて、夕日も半分沈みかけていて周りは薄暗い。
もう肌寒い季節だし、暗くなるのも早いなと思いながら小屋まで来ると、何故かウサ吉の小屋に小さな人影があった。
子供・・・?
髪が長いし女の子だろう。
「誰かいるのかい?もう暗いし、ここは箱根学園の敷地内だから入っちゃいけないよ」
「あ、ごめんなさい」
鈴を転がしたような可愛らしい声は、俺の大切な子の声に似ていた。
いや、似ているんじゃない・・・?
「姫さん・・・?」
「新開さん。練習おつかれさまでした」
間違いない、目の前にいるネコ耳しっぽをつけた可愛らしい女の子は、姫さんだった。
近くに来てやっと顔が見えた姫さんは、ウサ吉をだっこしてニコニコ嬉しそうに微笑んでいる。
う、わ・・・、俺にだけ向けられるその微笑み、やられちまう。
動揺しているのを悟られないように俺は姫さんの小さな頭を撫でる。
「どうしたの?こんな可愛い格好して、こんな時間に。危ないだろう?」
「ごめんなさい。・・・新開さんに会いにきたのです」
「っ。俺に・・・?それは嬉しいな」
「トリックオアトリートですよぉ」
うん?
・・・ああ、もしかして今日はハロウィンか。
わざわざこんな可愛い仮装して、千葉からは近いといっても時間はかかるのに、俺のために。
「姫さん。可愛すぎるよ」
「ひゃっ!?」
ウサ吉を抱いている姫さんを片腕で子供だっこすると、うん、ダブルで幸せだな。
相変わらず羽のように軽いなぁ・・・って、ああ、そうだ。
お菓子をあげないとイタズラされるんだったっけ。
姫さんにならイタズラされてみたい気もするけど、俺は嘘は嫌いだ。
「ほら。お菓子だよ。どうぞ」
「・・・。パワーバー・・・」
んん?姫さんの反応はいまいちだけど、補給食ってお菓子の分類じゃないんだっけか?
思っていたのと違うと顔に書いてあるのに、それでも好きなイチゴ味だったせいか、嬉しそうにほにゃりと笑う。
「・・・今度はちゃんとお菓子用意しておくからさ。また会いに来てよ」
「っ。はいっ」
華が咲いたように笑う姫さんに、俺は不覚にも赤面してしまった。
ああ・・・君のことが、愛おしくてたまらない。
いつまでもここにいて・・・俺の可愛いお姫様。
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瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» 温かいコメントありがとうございます^^いつもお気遣いいただいて本当に嬉しいです♪思いつきでお話をばら撒いておりますが楽しんでいただけて幸せです。今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年12月24日 22時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 後、あまり無理は為さらないで下さいね?更新お待ちしてます^_^ (2019年12月24日 20時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 遂に番外編まで来ましたね!嬉しいです!今回も楽しかったです。皆素敵でずっとにやけながら、...ヤバい。...スキ。という状態になってました。体調に気を付けて頑張って下さい♪ (2019年12月24日 20時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - すももさん» お祝いのお言葉ありがとうございます^^そして温かい気遣いのお言葉、とても励みになります♪本編も完結できるように頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年12月10日 8時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ふたばさん» お祝いのお言葉ありがとうございます^^今月は番外偏は難しいですね。ごめんなさい(土下座)年末年始はドタバタなので更新頻度がかなりゆっくりになります><ご容赦ください。今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年12月10日 8時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2019年9月27日 18時