【１期】弱虫姫★番外編【弱虫ペダル】

【１０月編】もしも仮装した姫ちゃんが現れたら【金城真護】 ページ4

今年の１年の中に、驚くほど成長が早く、ずば抜けた能力を持った女生徒がいる。

真紅・クリス･･･、癒しの姫君と謳われるほどの素晴らしいルーラーである。


主将としては、この素晴らしい能力を伸ばしてやりたいと思っている。

だが、姫と関わる時間が増えれば増えるほど、俺は別の何かの感情を抱くようになった。



護ってやりたい。

笑っていてほしい。

可愛い。

触れたい。



いろんな感情が気づいた時にはふと沸き上がる。

周りからは父親だの保護者だのと言われて、最初は妹のような、娘のような、そんな感情で護りたいと思っていた･･･はずだ。


いつからだろうか･･･こんなにも、愛おしいと感じるようになったのは。


そんなことを考えながら、いつの間にか俺の部屋にいる猫耳姿の姫を見つめている。

なんて愛らしいんだろうか。




「金城先輩。トリックオアトリートですよぉ」

「あ、ああ･･･。確か、菓子を渡さないと悪戯される･･･というやつか」

「はいっ。おかしくれないと、イタズラしちゃうです」

「そ、そうか･･･」




菓子か･･･、あるにはあるが、ただ渡すだけでは、全力で仮装している姫を楽しませられないのではないか？

何か、姫が喜ぶ方法で渡してやりたいが･･･さて、どうするか。



････あれをやるしかないか。




「姫。オーダーだ。少しここで待っていろ。出来るな？」

「ふぇ？えと、はい･･･？」




俺は大急ぎで準備に取り掛かることにした。

少し時間がかかったが、準備を終えた俺は、姫の待つ部屋に入る。

すると俺の格好を見た姫が少しピンクがかったスミレ色の瞳を輝かせた。




「か、かっこいいです！タキシード似合ってます！」

「あ、ああ。ありがとう。さあ、姫。両手を上に向けてくれ」




少し照れながらも俺は素直に両手を差し出した姫の上に少し大きめのハンカチを被せた。

そして、カウントダウン。



カウントゼロでハンカチを取ると、姫の両手いっぱいにキャンディーやラムネなどが乗っていた。

ふ･･･。成功だ。




「っっ！！わあっ。おかし、いっぱいです。すごいです！」

「ふふふ。俺の得意技は･･･マジックだ！」




喜ぶ姫が可愛くて、俺は調子に乗って何度も姫の手の上に菓子を出し続けた。




「あ、あの。先輩･･･」

「･･･ああ。すまない･･･」




仕込んだ菓子を出し続けた結果、姫の目の前には菓子の山が出来上がってしまったのだった。

【１０月編】もしも仮装した姫ちゃんが現れたら【荒北靖友】→←【１０月編】もしも仮装した姫ちゃんが現れたら【青八木一】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す