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手が、熱い。
体全体の意識が手に行ってて何も考えられない。
ただでさえ、夏なのに、手汗がすごいことになりそう。
気持ち悪いって思われたり、
って、何でそんなこと気にしてんの。
「A?」
後ろから突然声がした。
それはいやでも声だけで誰かわかる人で。
力が抜けたテテの手から瞬時に自分のを離す。
歩みを止めた私と、私の行動と後ろからした声を疑問に思ったのか、テテはこっちを振り向く。
テテと目が合う。
テテは後ろの人を一瞬見ると、また私に目を向けた。
隠しきれない戸惑いと私の硬い表情で、後ろの人が私にとってどう言う人なのかわかったように、目の色が暗くなる。
「A?」
また名前を呼ばれる。
苛立ちを含んでいたその声に、家に帰った時のことを想像して、怖くなった。
だから、ゆっくりと後ろを振り向いた。
「お父さん」
固唾を呑む。
手に汗がにじむ。
怖い。
「隣の子は?」
テテを見るお父さんの目は軽蔑とも嫌悪とも取れる視線だった。
それに対し、テテは無表情で、必死に何かを堪えるようにお父さんを見ていた。
「Aさんのクラスメイトです」
「ただのクラスメイトがAの手を握るの?」
「はい」
お父さんの視線に臆することなく、淡々と答えるテテ。
私は隣で黙っていた。
「…荷物持ってくれたんだね。ありがとう。
もう家はすぐそこだから、帰ってくれて構わないよ」
テテに対して冷たくあしらうお父さんは、目線だけで私に彼が持ってる荷物を自分で持つように言われた。
私は素直に従う。
テテもすんなりと離してくれた。
「Aちゃん、」
お父さんに聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声で話しかけられる。
でも、その先を聞いたら逃げ場なんてないのに、逃げ出してしまいそうで、テテの言葉をさえぎった。
「ありがとう。またね」
必死で何でもないように装ったけど、テテの目からは「また嘘ついてる」と言われたような気がした。
でも、気づかないふりをしてお父さんの方に歩いていく。
「さあ、帰ろうか」
お父さんは私の背中に手を添えて、早く帰ろうと促した。
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Selogd(プロフ) - なんか切ないです(/ω\)更新楽しみに待ってます(^^♪ (2018年5月1日 18時) (レス) id: dbb2a44d3f (このIDを非表示/違反報告)
れー - なんだか泣きたくる切ない展開とても惹きこまれます。更新楽しみにしてます。 (2018年4月29日 19時) (レス) id: 8f9d951721 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haylee :D | 作成日時:2018年3月19日 17時