【鬼滅の刃】陽光の巫女

下山 ページ14

.







「わ、もう朝日が昇ってきてる」


「Aちゃんずっと霞湖の中にいたけど大丈夫なの？ただでさえ寒いのに…」

　
ぶるり、と身震いする善逸。
　
たしかに霞湖は標高が高い場所に位置しているし、霧のせいで気温はグッと下がっているだろう。



「だいじょぶだいじょぶ。修行で陽光山の滝に打たれるよりマシだよ」


「Aちゃんは僧侶にでもなるつもりだったの？」
　


いやぁ、あれは寒かった。


冷たい通り越して痛いし、高い場所から大量に落ちてくる水流は刃物みたいに鋭かったし。






「これからどうする？俺もうくたくただよ…」


「そうだなぁ…。とりあえず町におりてみようか」
　


鬼との戦闘で疲れた体に鞭打って山を下っていく。


途中、休憩と称してかわりばんこで仮眠をとったりしていたら、町に着いたのはお昼時になってしまった。
　


人通りの多い通りを歩いていく。
　

上から見たとき、一番大きな通りを見つけたからそこを目指してみようか。

もしかしたら宿屋があるかもしれない。




「善逸、こっちに……って、善逸？」

　

こっちに曲がろう、と隣にいたはすの善逸を促そうと横を見ても、特徴的な黄色頭が見当たらない。
　

振り返ってみると、小さな女の子に袖を引かれてあわあわしている善逸がいた。



「ど、どどど、どうしたの？なんで泣きそうな顔してるの？お、おお、落ち着こう！一回落ち付こう！？」
　

お前が落ち着け。
　


助けを求めるようにこっちを見る善逸。


駆け寄って、涙目の女の子と視線を合わせるようにしゃがんだ。



「君、どうしたの？」
　

なるべく優しく、女の子の頭をなでながら聞いてみる。
　

すると、女の子は今にも零れ落ちそうな涙を必死に拭い、私達の隊服をじっと見つめて言った。







「おにがりさま、ですか？」

空腹→←救済

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す