【銀魂】或る化け狐の恋物語

第十一訓 【神威】 ページ12

再び戻って鬼兵隊艦内....。

A｢.....暇だな｣

拐われた姫君は退屈していた。

A｢退屈だ....。何かないのか....｣

ぶつぶつ呟きながら部屋の中をうろつく.....。

が、ピタ、と立ち止まり、閉まっているドアを見つめた。

A｢そこにいるのは誰だね。晋助....ではないな。用があるなら入ってきたまえ｣


閉められているドアに向かって平坦な声をかけ、ゆっくり近付く。

―― 次の瞬間、

バンッと音をたて、壊れるくらいの勢いでドアが開いた。

A｢....ｯ危ない｣

ドアの近くまできていたAは慌てて身を引いた。

？｢あれ、君すごい反射神経いいんだ。高杉の旦那の言う通りだネ｣

荒々しい登場の仕方に似合わない優男がニコニコ笑顔でAに近付いてきた。

A｢......誰だね？見ない顔だが....｣

？｢それはお互い様でショ？俺は宇宙海賊春雨第七団団長の神威だヨ｣

神威、と名乗った男はニコニコ笑顔を崩さないままAを指差した。

神威｢で、君は誰？旦那の新しい女.....ってワケじゃないネ。その姿｣

言いながらAの頭の耳と尾を見る。

神威｢.....あぁ、分かった。君、旦那の言ってた化け狐だネ｣

A｢私を知ってるのか｣

神威の“旦那の言ってた”という言葉が引っ掛かり、改めて神威の顔を見る。

神威｢知ってるヨ。...まぁ詳しくは教えてもらえなかったから名前を聞いた事があるくらいだけど｣

神威はそう言うと、またニコリと笑った。

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