殺し屋やってるらしい。【浦島坂田船】 (ページ5)

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killing night 4 ページ5

少し汚れた鏡の前へ立つ。

さっきの男の殺気は凄まじいものだったから殺されないように逃げればしっかりとまとめたはずの髪の毛ももうぐちゃぐちゃだ。

『こんなに、伸びてたっけ…』

胸くらいまで伸びた紺色の髪に触れる。
指を通すとさらりと元に戻り、少し鉄の匂いが鼻についた。

切ろうか…、とハサミに手を伸ばした。

でも、何かに使える時があるかもしれないと思って手を下ろした。

＜また、＂u.s.s.s＂の犯行＞

いつの間につけていたのだろうか。テレビでデカデカと報道していた。

u.s.s.sは最近話題の連続殺人犯の名称だ。どこからその名前が出てきたかは知らないし興味もないがu.s.s.sは複数人いるという噂もある。

まぁ依頼人から聞いた話だからいまいち信用はできない。

私は長い間如月Aとしての殺し屋をやっているが自分の名前がテレビやメディアに出ているのを見たことがないし、聞いたこともない。

変に騒がれるよりもその方が良いのだがこれに関しては私はなにもしていない。

騒がれたからといって何があるわけでもないし、自分がやっていないことを押し付けられたとしても特に苦は感じないと思う。

なぜなら私が殺していない人間を殺したと囃し立てられたとしても私は囃し立てた者の想像がつかないくらいに人を殺しているのだから。
そのことに大差などはないのだ。

私はこの生き方しかできないのだから。

人の命を殺めていなかった自分なんて私は１つも知らないのだ。