【妖術師】〜番外〜＝陰陽師編＝【コラボ】 ２

６９　＜瑠河＞ ページ26

兄弟と名乗った二人の声を聞きながら少し彼らから離れると夜尋は周囲を見渡した。
そこには、自分が絶望し、全てを壊そうとした身勝手な痕跡。
自分の力で壊してしまったのだ。ここ周辺を。
何故かちくりと胸が痛む。
それは懐かしいような不思議な感覚だった。

｢自分の力が嫌になったか？｣

ボソりと声が聞こえる。顔をあげれば、眼帯の少年が近くに居て、声の主は彼だとわかった。
確か、兄弟はすばると言っていたか。

｢…そうではない、身勝手だったと思うただけじゃ｣

同じような声の大きさで夜尋は返す。

｢それでも、今は止めてくれる奴らがいるだろ？｣

昴は言う。
そうだ、今は止めてくれる兄弟がいる。かれらがいる。

｢ちょっと昴おにーさん？目を離した隙にうちの夜尋に何してるのかなー？｣

離れたことに気づいた瀬はすっと近づいてきた。それに狐丗も続いて来た。

｢別になんでもねぇよ。｣
｢またまたー、おにーさんが考えなく動くわけ無いでしょ？あ、まさか、お兄さん…ショタコンとか！？｣
｢どんな趣味だよ！？｣
『そっかー、昴にそんな趣味があったとはー…』

和抄は棒読みでそう言い、飛鳥はじと目で昴を見た。狐丗も引いた表情を浮かべている。

｢お前らなぁ…｣

昴はため息をついて、壊された一面に指をさす。

｢一件落着はしても、直すもんは直さねぇといけないだろ？｣
｢そこ今言うのー？空気読めない人だなぁ、おにーさんは｣
｢まぁ、確かに復興してかないといけないよねぇ…｣

狐丗は苦笑いをする。

｢んでも、｣
｢わっ｣

瀬は夜尋に抱きつくと話を続けた。

｢今日は夜尋の歓迎もかねてご飯でも食べようよ、もう遅いし｣
｢そうだね、明日から頑張ればいいし。村の人達もきっとわかってくれるよ｣
『今更だけど、瀬は家に戻らなくてもいいの？』
｢いーのいーの。まぁ、そっちのことは俺のことだし、気にしないでよ｣
｢それならいいけど…｣

瀬の言葉に頷く狐丗、瀬に聞く和抄、少し心配そうに返答する飛鳥
自分の周りで続いていく会話に夜尋は見渡す。
和の外でこっちを見ていた昴と視線が合う。
なんとなく呆れたように少し笑っていて。
ほんのり温かい感覚がしたのは気のせいだろうか。

｢じゃあ、とりあえず帰ろうか、家に｣

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お久しぶりです、作品が三年以上経っちゃいました。キャラすごい迷走してる……。ごめんなさい！
短大生になった瑠河です。
話進展してないです。
もうすぐ終点です。次は岩埼です。

７０　＜岩埼譲＞→←６８　＜水憐＞

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