60ab side ページ16
目を覚ますと見慣れない天井が目に入った。
ここはどこだ？
自分に何が起きたのか思い出そうと未だにはっきりしない頭を働かせて思い出す。
気付けば自分が裏門にいて、そこには翔太がいて…そうだ、佐久間は無事だろうか！？
事態を把握しようと身体を起こそうとしたが頭がガンガンして上手く起きることが出来なかった。
｢あっ、目が覚めました？｣
｢…誰？｣
目の前に現れたのは背の高い黒い衣を着た男。
｢あー、名前とか名乗っていい感じですかね？まあでも余計なことしたらふっかさんと翔太くんに怒られそうなんでやめときますね。｣
｢…翔太の仲間？｣
｢まあそんな感じっすね。｣
男はそう言って俺に近づいてきた。
｢なんのつもり？佐久間には何もしてない！？｣
｢えーっと俺にもあんまり翔太くんの考えはわかんないんで。佐久間って誰っすか？門にいた人は寝てるだけで置いてきました。寝てるやつ襲っても楽しくないんで。｣
｢…楽しくない？｣
｢はい。俺楽しいことが好きなんで。｣
男は表情を変えずそう言った。
｢俺はちゃんと意識がある人間にしか興味無いんで。情けない悲鳴をあげたり、命乞いしたり…そういう奴らを追い詰めて遊ぶ方が楽しいじゃないですか。｣
さも当然と言ったような顔でそう言った。狂っている…。
｢そんな顔しないでくださいよ。｣
｢…。｣
｢翔太くんが来るまでお話しがしたいだけなんで。あなたのことは翔太くんから少しだけ聞いてます。｣
｢翔太はなんて？｣
俺が尋ねると
｢昔の知り合いって言ってました。｣
｢…そう。｣
"知り合い"…か、その言葉に僅かに胸が痛むのは…昔の思いを引きずっているからか。
すると、目の前の黒い衣を着た男は
｢翔太くんはどんな人だったんですか？｣
｢…優しい人。｣
続けて"綺麗"という言葉が出かかったけど飲み込んだ。
｢優しい…ですか。｣
俺の言葉に目の前の男は首を傾げていた。
｢君は…どうやって翔太と知り合った？｣
｢覚えてないっす。｣
目の前の男は、既に飽きたのか俺の隣に腰を下ろし自分の髪の毛を弄り出した。
｢…私をここに連れてきた理由は何？｣
｢言いませんよ。てか知らないし。｣
｢仲間なのに？｣
｢いつもそうっすよ。あっ、そろそろ翔太くん来ると思うんで。｣
男は立ち上がって扉の方に向かっていった。そして、去り際
｢まあこれから仲良くしましょうよ。｣
｢…？｣
そう言って消えた。そして入れ違いに俺の目の前に翔太が現れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ラウール」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくら(プロフ) - orikacoさん» コメントありがとうございます！温かいお言葉、本当にありがとうございます、励みになっております！これからも亀更新ではございますが楽しんでいただけるよう精進します！ (2023年2月18日 23時) (
レス) id: 1995ada5eb (このIDを非表示/違反報告)
orikaco(プロフ) - お忙しい中、更新ありがとうございます！久しぶりの更新に歓喜しております( ˊᵕˋ*)さくら様のペースで大丈夫なので、これからも頑張って下さいね。気長に楽しみにしています。 (2023年2月8日 21時) (レス) @page20 id: 95f4d7b396 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 鳥本さん» コメントありがとうございます。お礼を伝えるのが大変遅くなってしまい申し訳ありません。温かいお言葉本当にありがとうございます！ (2023年2月8日 21時) (レス) id: 1995ada5eb (このIDを非表示/違反報告)
鳥本 - すごく面白いです (2021年12月5日 19時) (レス) @page16 id: 68c869632c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくら
| 作成日時：2021年6月12日 18時
