検索窓
今日:13 hit、昨日:6 hit、合計:33,649 hit

修羅の町のポリ ページ10

.


かちりと合った土方さんとの視線に顔が思わず「げっ」の形に歪む。


「アンタ、医院の見習いっつったな。治療の実践経験は」


「あっ……りますけど。専門?は医者ではなくて薬なので!止血薬使ったり包帯巻いたりが関の山で!あの、病院の方が多分」


「一般の病院に送れんのは意識が無くなった奴だけだ。半端に意識のある隊士を斬り合い直後に救急車乗せてみろ。二次被害が出る。

仰せの通りチキチキ我慢大会だ。医者が来るまでちょいと頼まれちゃくんねェか」


「いやでも実践って言っても場所が違うと言うか、条件が違うと言うか、あっ待ってこれって拒否権無い感じですか」


「あると思ってんのか。仲間の命がかかってんだ、使えるモンはネコでもフリーザに雇用されてた見習いでも使う」


最終的にはずりずりと薬箱ごと連行され初めてしまった。抵抗しようにも流石に鍛え上げた男である。


元雇用主よりは非力であろうが、それにしたって私がどうこうできるモノではない。



「それにお前も。医者だろうが薬師だろうが、目の前の命見捨てちゃあ終ェじゃねぇのか」



重ねて発された言葉。土方さんにとってはただの説得の一旦だろう。けれど、一瞬息が止まった。心臓が跳ねた。


そこが、その言葉が。
私の人生において一番痛い所だったから。



髪だけを遺して暗いドブに棄てられていった女の死体。

痛みを堪える浅い呼吸。

甘ったるい香を放つ小さな花。


全部、ぜんぶ、元はと言えば。




チカチカ明滅する視界。抵抗を無くした私の反応を肯定と取ったのか、彼は更に速度を上げる。


いやもういいや。なるようになれ。
私はすぐに思考を止めた。

出血大サービスとはこの事で→←修羅の町のポリ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (81 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
94人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 真選組 , 万事屋
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

木の実(プロフ) - はるさん» はじめまして!大変に恐れ多いコメントをありがとうございます…!言い回し等は探り探りの作成であった為、その様なコメントを頂けるととても嬉しいです!はる様のコメントを励みに続編作成に注力したいと思います。これからも何卒よろしくお願い致します! (2021年10月8日 8時) (レス) id: 5cf2525d27 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 初めまして。コメント失礼します。世界観が私好みですっかりハマってしまいました。設定が細かく丁寧で、言い回しが綺麗なので読んでいてすごく楽しいです。作者様がとても優しい方なのだと伝わってきます。これからも応援してます! (2021年10月6日 23時) (レス) @page41 id: 9d3e0aca39 (このIDを非表示/違反報告)
木の実(プロフ) - ☆辻村春樹☆さん» はじめまして、コメントありがとうございます!世界観や表紙絵にまで言及頂き大変に嬉しいです…!勿体ないお言葉をありがとうございます!何卒これからもお付き合い下さると幸いです! (2021年8月31日 10時) (レス) id: 5cf2525d27 (このIDを非表示/違反報告)
☆辻村春樹☆(プロフ) - 初めまして。吉原編が深く関わる、この小説ならではの世界観がとても素敵だと思いました。つい何度も読み返してしまうくらい好きです。続きを楽しみに待ってますね…!トプ画のイラストも、作品の雰囲気に合っていて、凄く良かったです! (2021年8月29日 23時) (レス) id: 4b0a37e42a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:木の実 | 作成日時:2021年8月29日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。