待てば甘露の日和あり【銀魂】

幸せは歩いてこない、だから歩いて行くんだね ページ37

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「＿＿＿誰かを犠牲にして生きて来たって？ンなもん俺も一緒だよ。とんでもねぇ数の命も呪いも背負って今ココに居る。


けどまあ、結局どんなトコでもテメーの行動１つだ。テメーがどう動いてどう思うかだ。


分かりやすい「幸せ」なんざ早々ねーよ。些細な事もよく分からない出会いも、必死こいて掻き集めて護って。ふと気付いたら良かったと思える事が残ってる。たまにそれに救われる。


生きてりゃそんなもんだろ。だから死ぬなって話じゃねーのか」


坂田さんの声色は何でも無い事のように変わらなくて、それでいてずっしりと重い。彼に何があって何を見てきたのか、何に呪われているのかなんて理解も及ばない。けれど。



「あとな、待つなら受け入れる覚悟がまず要んだよ。

ふいに飛び込んで来た幸せのタネを、どんな地獄でも捨てねェ覚悟ってモンが」



この人はきっとどんな事があっても折れずに生きて来た人。彼自身がどんな状況でも、今の言葉の通り生きてきた人だ。


それはいっそ焦がれる程に、真っ直ぐで酷く目が眩む。


「あ"〜〜っタラシって、そうか。こういう事かぁ……」


「え、タラシって何？今銀さん気付かない内に口説いちゃったりしてた？ゴメン俺ァもうちょい淑やかな女がタイプっつーか……いや、そもそも今の「幸せは歩いてこない、だから歩いてゆくんだね」って話だったじゃん？」


「要約するとユルいですね？？
いえ、タラシってのはこっちの話で」


息を整えて視界を広げれば、太陽できらきらと彼の曲がった髪の毛が輝く。白だと思っていた色はよく見ると白銀で、名前のまんまなんだと気の抜けた事を思った。


「＿＿＿銀時さん(・・・・・)」


その思考はそのまま口を衝いて、思わず両手で押さえる。脳と口が直結してんのかと言われたのはつい最近だったけれど、やはり本当にそうらしい。


経験は無いけれど先生をお母さんと呼ぶ心地ってこういう事か。羞恥に固まれば、吃驚したのか目を見開いた彼が代わりみたいに再起動する。あーうんとダラダラ返事を返して、彼は頭を１つ掻いた。


「どうせなら銀さんでいんじゃね。坂田さんも銀時さんも慣れねーし。アンタの名前もどうも呼び方定まんねーからそのままでいいだろ。

とっとと戻んぞ、果宝」


こんだけ時間食ってたらお互い怒られるわ。彼は再び歩き始める。その歩幅はさっきより随分と小さくて、借り物の下駄でもずるずるの浴衣でも一定のリズムで追い付けた。



「はい、銀さん」

原因は点、結果は線、繋げると事件→←幸せは歩いてこない、だから歩いて行くんだね

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