寝 起 き が 可 愛 す ぎ る【短編集】

ごしき つとむ ページ10

何故か肩に冷たいものを感じて、恐る恐る目を開けその方を見ると、
工のヨダレで白いパーカーの一部がが灰色になっていた。


「はぁ、」


そうため息をついて本人を見れば気持ちよさそうに寝ているので怒るにも怒れない。


「起きろやお前らァァァァァ！！！」


という声と共に飛び起きていく選手たち。
珍しく牛島さんもその1人に入っていた。

工はしっかり寝ております。が、監督の死角となって見えていないらしい。


「工、監督に怒られるよ。」


頬を少しつまめば、ヨダレをふき、


「ぉ、、はよ、ございま、す」


と言いまた力尽き夢の世界へ行った。
次は私の膝を使い寝ている。
可愛くて後輩持ったなぁ、なんて思いながらいると
牛島さんから「起こせ」という指示があったので渋々起こすことにした。


「つーとーむーーー」


少し強めに肩を揺すれば、パチッと目を開き目が合った。
その途端、ピシィィッ！と座り

走行中なのにも関わらず立ち上がり


「すいません！！Aさん！ほんと！すいません！！！」


と、バスの中で出す声ではない大きさで謝り、頭を下げまくる。
その様子を見て、天童さんが「何？どうしたってノ」といえば


「その、俺勝手に、Aさんの膝使って寝てて、しかも、肩にヨダレもたらしてて、、」


と必死に訴えている。
それを聞いて天童さんは指をさして爆笑していた。

なんだか腹立ち、きっ、と睨めば
「スイマセーン」といい大人しく座った。


あの、あの、とあたふたしている工を落ち着かせなければならない。


「まぁ、座りなよ。大丈夫だから」


そう言い微笑めば「ありがとうございます」と顔を赤くしていた。
少しモジモジした後に


「あ、あの、帰りは俺が膝、貸します！！」


太一の「は？俺が貸すし」みたいな声が聞こえた気がしたがしらん。

工のいきなりの発言に驚き目を見開く。
口をキュッと閉じ、私の返事を待っている姿が可愛くて、


「わかった、ありがとう」


そういえば、ほっとしたように肩が落ちた。





「今日の試合も、期待してるよ。」

「はい！Aさんの！期待に応えられるよう！！！五色工！頑張ります！！！」





ウォォォオオオ！！と気合が入っている様子。
そんな、明るい笑顔に惹かれたのかな、なんて。



それを伝えるのはまだ先の話。


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咲夜さんリクエストありがとうございました！

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