Kita.s ページ13
「A、今日は雨降るから先帰らなあかんよ。」
「うん」
「ええ子や。」
上品に笑い、頭を撫でてくれる。
彼は心配していってくれているのだろうが私はもっと一緒にいたい。部活を頑張って欲しいのは第一にあるが、やはり欲は出てしまう。寂しい、というのが私の今の感情に合っているのだろうか。
結局彼が部活終わるのを待っていた。
いい時間になった頃バレー部と思われる騒がしい声が聞こえる。下駄箱の陰から、チラッと覗くと直ぐに信介と目が合う。
「A、先帰っとってって言ったやろ。」
「一緒に帰りたかった」
遠慮がちに小さい声で言えば、ぽんと頭の上に乗せられる手。上を見れば信介とまた目が合う。
「ほな、帰ろか。」
そう言い手を引いてくれる暖かい手。
どこまでも優しい彼に私は甘えてばかり。
それからは手を繋いだまま人気の無い道を歩いて帰る。
「寂しい」
立ち止まってしまう。
隣にいるのに。手を繋いでいるのに。ワガママ聞いてくれてるのに。私の口から出てきたのはそんな言葉だった。びっくりしたように信介はこちらを見ている。
ぎゅぅっ、とでも効果音がつきそうなくらい信介に抱きつく。
「どないしたん」
そう言ってまた頭を撫でてくれる手は優しかった。
寂しい、というのは一緒にいたい、の他にも抱きしめて欲しい、キスしてほしい、そういう思いもあったのだろう。
そんな私の思いを見透かすように話し出す彼。
「Aのことは大事にしたい。でも___」
ふわっと鼻をくすぐる信介の香りと顔にかかる髪の毛。キスされた、そう思うのには時間はいらなかった。離れたかと思えば、次々の角度を変えて降り注ぐキス。彼の体温を感じていた。
「ふぁっ、、ん」
自分の口からこんな甘い声が出るとは思わず顔が熱くなる。息もだんだん辛くなり、どんどん、と彼の胸を叩く。「すまん」と我に返ったように離れていく。
「俺も男や。歯止め効かん時もある。そんなことしてAのこと傷つけたくない」
「…っ」
彼が自分を思ってくれている優しさを改めて知り目尻がじんわり熱くなってくる。
「でも」
そういい空を見上げ、また私を見る。
「Aがどうしてもって言うなら、その気でもええよ」
見たことない獲物を捕えるような目をしていて、逸らせずに見つめる。
「どないする?」
いつもの優しい彼ではなく、男の表情の彼だった。
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Nさんリクエストありがとうございます!
北さんの欲を出してみたかった、、、
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美穂 - 初めまして。大地さんをリクエストしたいです!更新頑張ってください! (2020年4月27日 17時) (レス) id: f7b3d5ed55 (このIDを非表示/違反報告)
貝 - リクで古森君お願いします!! (2020年4月23日 10時) (レス) id: e243e47ef4 (このIDを非表示/違反報告)
*絲* - リクエストなんですけど、研摩お願いします! これからも、頑張ってください!! (2020年4月1日 13時) (レス) id: 7b8cd78f7f (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - リクエストです!縁下と、福永お願いします (2020年4月1日 8時) (レス) id: 9cbf5805b4 (このIDを非表示/違反報告)
黒タヌキ - 覚くぅぅぅん…!!!程よいチョロさと相変わらずの鋭さが最高にいいです!!覚くんの涼しい顔が浮かべそう、天童推しとしてもう…!!!(≧∇≦*)リクエストですけど、欲といえば昼神幸郎くんを思い出す…無欲だと言われてる人が欲を曝け出すところが見たいです! (2020年3月28日 16時) (レス) id: f4f8bcd305 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よーぐると | 作成日時:2020年3月11日 16時