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「僕も大好きなんだ!!」
「そ、そうか、それは嬉しいな…」
「お兄さんはどの話が好きなの? 僕はもちろん全部好きだけど、特に___」
それから少年の熱烈なホームズ愛を伝えられてしまった。
いや本当にこちらが恥ずかしくなるくらい、熱烈に。前世でも、こういうファンは少なからず居たが、久しぶりすぎて、何だか照れくさい。
こんな幼い少年も読んでいるとは。
…………ん? いやだが、あれは子供向けではなかったはずだが、この少年はこの年で全て読んだということか?
「君の脳みその作りは一体どうなってる?」
「へ?」
「やはりIQがかなり高いんだろうか? 測ったことは?」
「ないけど…」
「勿体ないな。測ってみようとは思わないのか?」
「別に…」
少年はあまり乗り気じゃないらしい。
どれほどのIQがあるのか、非常に気になるところだが、本人が乗り気でない以上、無理に受けさせるわけにもいかない。
残念だったな……天才少年かもしれないのに…。
もしかすると、シャーロックに幼少期があったとすれば、この少年のようだったのだろうか?
いや、そうに違いない。……ああ、少し書きたくなってしまったな。
「お兄さん、大丈夫?」
「え?」
「何か考えこんでたみたいだけど…」
少年は心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「ああ、少し考え事をね。大したことじゃない。もしホームズに幼い頃があれば、君のような子だったのかもしれないと思っただけだ」
「そ、そうかなあ、買い被りすぎだよ」
少年は照れたように笑う。
その言葉に私は、そんなことは無いと首を振った。
「コナン・ドイルが居れば、きっと彼もそう言っただろう」
「………はは、そんなわけないよ」
少年は呆れたように笑う。
いやまあ、私がその本人なのだが。
そのことをこの少年に伝えられないのが、なんとも歯がゆい。
いや、伝えたとして、信じてもらえないのは分かりきったことだ。まあ、私であれば信じていただろうがな。
「そういえば、お兄さんの名前、聞いてなかったね」
「ん?ああ、僕の名前は___
A。
A・コナン・ドイルだ」
「コナン………ドイル____!?!?」
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水無瀬 零(プロフ) - 面白かったです!ベイガー街の亡霊楽しみにしてます! (2022年5月24日 20時) (レス) id: f8abb227c5 (このIDを非表示/違反報告)
(^ω^) - 楽しみにしてます! (2021年12月11日 9時) (レス) @page10 id: bd739fb955 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 面白かったです。更新楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2021年7月30日 9時) (レス) id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ(プロフ) - 平井くんが思いの外イケメンで動揺が隠せません (2021年6月12日 9時) (レス) id: 579ee633f4 (このIDを非表示/違反報告)
プリン(プロフ) - 面白いです!!更新楽しみにしてます! (2021年6月9日 19時) (レス) id: fad1ae5811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨ノ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年5月13日 21時