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美「ふふ、パセリ」
彼女は俺の言葉にパセリを取っ手から外すからそれに「Aに預けるよ」と口にすれば、じっと俺の顔を見つめてから口を開いた。
「私も今日パセリのこと思い出した」
美「そうなの？」
「うん。『希望は羽根をつけた生き物』って本を貸してもらったの。私の頭の中で『羽根をつけた生き物』はパセリだから。パセリのこと思い出して、みゅうさんにパセリのこと引き取らせて欲しいって言うつもりだったの」
彼女がそう口にするから「まただ」と思って「やっぱミラクル起こすよね、パセリ」と笑って彼女の小さい手の中にあるパセリを触る。
美「覚えてる？初めて会った日」
「うん」
美「パセリあげたよね」
「うん、嬉しかった」
美「パセリがさ、繋いでくれたね」
俺たちのこと、と俺が口角を上げると彼女は困ったように俺に視線を向けた。気持ちが同じ方向に向かわない時も、パセリだけが繋いでくれた。
美「同じ本を同じ相手に買ってた時点で、言いましたけど」
「うん」
美「運命的だと思ってる、俺ら」
俺の言葉に彼女の瞳がユラッと揺れて、泣きそうな顔をする。
・・・今、どんな気持ちなの？
美「A？」
「みゅうさん」
美「ん？」
俯いたままのAが俺の名前を呼び顔を向けると、彼女は真剣な眼差しで俺を見返した。感情が、顔に出てしまっている。途端にドキッとしたのを合図にもう一度彼女の名前を呼ぶと彼女ははっきりとそれを口にした。
「わたしを・・・みゅうさんの恋人に、してくれますか？」
今まで見たどんなAよりも俺のことを想っている顔をしている。
熱い視線に、濡れた瞳。不安げに下がる眉。
・・・胸を掴まれるというのは、こういうことなのだろうか。
上手く言えないけど、彼女が愛おしいっていう感情がマックスに登っていく。なかなか返事をしない俺を不安に感じたのか視線が下がる。それ阻止するようにふっ、と笑みからを零して顎を上げると彼女はもっと不安げな顔をした。
俺のことが好きって顔。切ない、顔。
そう思って「遅いわ」と微笑んで、抑えきれない嬉しさと愛おしさを彼女にぶつける。
・・・俺は、ずっとAが好きだよ。
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作者名：愛美
| 作成日時：2020年9月20日 2時
