1話 ページ3
ユーリside
「いいこと？ホグワーツでは人に失礼のないようにするのよ。お友達をたくさん作ってね」
『母様、わかっているよ。朝から20回は聞いてる』
母様の気持ちもよく分かる。
私にとって“友”と呼べる相手など森の動物か魔法生物くらいのものだろう。
私にはずっとそばに愛する弟がいる。
それ以外の友達など今までいらない状況だったのだから、母様が心配するのも無理はない。
それに私は……社交性がないに等しい。
「ねぇユーリ！！早く乗らないと汽車が行っちゃうよ？早く行こ！ね？」
『あぁ…そうだね。じゃあ父様、母様、行ってきます』
「行っておいで。元気でな」
くいくいと手を引くケイトについて汽車に乗り込む。
そこでふと彼が発言したのだ。
「あ〜うるさかった」
と。
『何か聞こえたかい？』
「ん〜？あのね、アレって妖精族じゃない？とか、何をしに森から出てきたんだあいつらは、とか聞こえてきたの！ほんとにやになっちゃう」
『……そういうのは相手にしないに限る。気にする必要はないさ』
やはり妖精族は珍しいようだ。
ひとたび森から出ただけで陰口を言われる始末。
勘弁してほしいものだね。
『さぁ、空いている席を探そう。まだ早い時間だ。十分に空いているはずだよ』
「うん！」
思った通り、汽車の中にはまだまだ空きがあって、2人で6人ほど座れそうな場所を占拠するのも気が引けるが…まぁ、仕方あるまい。
「ねぇねぇ、杖って僕たちに必要だと思う？」
『杖を使うことでさらに呪文が強化されると父様が言っていた。授業で使うくらいに留めておいたほうがいいかもしれないな』
そう。妖精族は基本杖を持つこともなければ呪文を唱えることもない。
大抵は指の動きとイメージでなんとかできてしまう。
しかし、学用品に杖は必須とのことだったため、仕方なくオリバンダーの店まで行ったのだ。
私もケイトも芯材が同じであったが、おじい様の羽から作られているとは驚きだったな……
「おじい様の羽って生え変わったってこと…だよね？僕らのも生え変わるのかな！」
『まず、今はあまり羽も出さないのだから生え変わる必要がないだろう』
「ちぇ〜羽は必要なときに出せって言うけど、そんなときあるの？飛ばないのに」
『ふふ、どうなんだろうね』
ケイトとの会話を楽しんでいると、ホグワーツ特急が大きな汽笛を鳴らした。
続く (更新停止中)
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作者名：魔法使いS | 作成日時：2023年8月3日 22時
