ヘラってる。10 ページ11
Aside
『空気が、変わった...?』
治が犯人を捕らえたか、犯人が自主的に異能の使用を辞めたか。
どちらにせよ、これで自分の身体に戻れる。
3分間は失神したままだけれど。
『さらば私の意識。3分後にまた会おう』
我ながらイタい決め台詞的な事を呟いて意識を身体に戻す。
本体の目が覚めるまでの間、会話できるのは私の異能力生命体とだけ。
『人魚、ありがとう。助かった』
「私が存在できるのは貴女のおかげ。だから貴女に従うのは当然の事」
彼女はいつも謙虚だ。
水の泡のような儚い微笑みを浮かべながら感謝の言葉を述べる。
いつかは消えてしまう存在だからこそ、この瞬間を大切にしているのだ。
『ありがとう』
治にも見習って欲しいと切実に思うけれど、今の治のままで居て欲しいという矛盾を抱えている自分がいる。
実際、薄暗くて気味の悪い空気が流れる森の中に独りで居たときは本当に怖かった。
どうしようもなく治が恋しかった。
抱き締めて欲しかった。
話したかった。
ただ、治に逢いたかった。
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桃瀬 都月@つづきちゃん(プロフ) - 名無し9106号さん» ありがとうございます! (2022年12月9日 18時) (レス) id: bee8f469cf (このIDを非表示/違反報告)
名無し9106号(プロフ) - 待ってまぁーす (2022年12月9日 17時) (レス) @page13 id: 8dc0882222 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桃瀬 都月@つづきちゃん | 作成日時:2022年11月28日 22時