【短編集】自給自足(百合)

先輩(夢主)×後輩 ページ6

きめ細やかなクリームが、丁寧に塗られていく


その手つきは初々しくて今すぐにでも抱きしめたいほどに可愛らしい


じっと眺めていると、はずかしそうに頬をいちご色に染める


艶やかな黒髪が振り返る動きに合わせて尻尾のように揺れた



「あの、先輩……？」


「先輩じゃなくてA」


「A先輩、あんまり見られたら恥ずかしいっていうか……」


「ごめんごめん、可愛らしいからつい


でも顔赤くしてたらケーキみたいだよ、肌真っ白だし


まさしく、食べちゃいたいぐらい可愛い」


「へっ……!?」



ボウルのふちについていたクリームを指で掬い


耳まで赤くなっている彼女の唇にこすりつける


それが舐めとられる前に自分のを重ねた


離れると、残ってしまったクリームが溶けて端から流れる


驚きを隠さずに彼女は口元を拭いながらぺちぺちと私の腕をたたく



「せ、先輩なにしてるんですかっ!?りょ、料理中にこんな、ことっ……！」


「あ、せっかくえっちな姿撮ろうと思ってたのに


拭っちゃダメじゃん、もっかいする？」


「すみません……！って、しないです！」


「ほらほらあんまり喋ったら唾飛ぶよ、手取り足取り教えたげるから前向いて」



後ろから抱きしめるようにして手のひらを重ねる


こんなベタなことでも真っ赤になって


そのうえ満更でもなさそうな彼女は本当に可愛らしい


きっと、この後嬉しそうに嫌がるのだろう



「せんぱ__


「A」


「A先輩、恥ずかしいですってば……！」


「ここはパティシエ専攻取った私に大人しく教えられときなさいって」



彼女は飾りのためのサンタの飴細工を見つめて大人しくなった


手の甲を少し撫でても何も言わない


不思議に思って手を離そうとすると、腕をぎゅっと握られる



「A、さん……好きです、大好きです


別の大学に私が行っても愛してくれますか…………？」


「突然どうしたの、当たり前でしょ？何のために同棲してると思って__


「私、もっと遠いところの推薦もらったんです


でも離れたくないんです！」



振り返った顔に涙が浮かんでいる


彼女が推薦をもらった大学は、日本のトップの大学


まさか通学に新幹線なんて使えない



「遠距離になったら縁が切れるとでも思った？」


「切れるかもしれないじゃないですか……」


「私の愛はそんなに薄い？」



彼女は少し安心した顔で首を振った



「行っておいで、でも辛くなったら戻ってきてね」


「はいっ……！」

ストリートミュージシャン×ファン(夢主)→←学生×学生(夢主)

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

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