看護師(夢主)×患児(妹) ページ4
「お姉ちゃん……苦しいのっ…………！」
顔を真っ赤にして、今にも泣き出しそうな顔で
妹は私の手を強く握る
退院は確か明日の昼頃だったはず、手術だって無事に終わっている
私より十も小さい十五歳の彼女
月明かりの中、優しく声をかける
「どこが苦しい？」
「分かってたらきっと、苦しくない……」
少し日に焼けた手が、ぎゅっと服の襟もとを握る
やがてボロボロと涙を溢した
決意したような目でこちらを見つめる
「わかんないのっ……！この初恋は叶わないんだって思うと
辛くて、辛くてっ……どうしようも、なくて…………！
……だって、だってね、好きなのはAお姉ちゃんなんだもん…………！
わたし、どうしたらいいの……？」
声が出ない
助けてあげたいけれど、軽々しく答えていいことじゃない
しかし、一番迷っている患者の前で私が迷っている暇もない
涙を拭って妹は目を伏せる
もともと感情移入のしやすい、傷つきやすい彼女
布団に潜って背を向ける
もう手遅れだ
「ごめんね、こんな真夜中に…………
全部、なかったことにしてくれる、よね……？」
「だめ、それだけは絶対にしないよ
あんたが退院して家に帰ったら、ちゃんとそっちで返事するから
もう寝たほうがいいよ、肌にも悪いし」
最低な返事だ
頭の中がぐちゃぐちゃになっていく
妹は顔だけこちらに向けて笑った
目からまた涙が流れていく
「じゃあ私、帰りたくないな……怖いよ…………」
もう気遣う言葉も出てこない
ただ黙って頭を撫でると戸惑った顔をする
目をつむって少しすると静かな寝息が聞こえてきた
ぐちゃぐちゃで真っ黒な頭のまま
迷いながらもそっと手を離して廊下に出る
月は雲に隠れてしまったようだ
「こっちだって、どうしたらいいのか
分かるわけないじゃん……
こんなの、どうしろって…………！」
小さな独り言はやけに静かな薄暗い廊下に響いた
そこから家に帰るまでの記憶はほとんど無いと言っても良い
ずっとずっと妹の涙の訴えがループしている
気付けば自宅の前に立っていた
いつもと変わらない動きで雑にドアを開ける
カバンを部屋に置くと黙って妹の部屋へと向かう
「入るよ」
「え、わっ……いつのまに……!?」
「深夜のあの告白は、それなりの覚悟があるっていうこと？」
しっかりと頷いたのを確認して
精一杯の笑みを貼り付けて嘘を吐く
「分かった、付き合おう」
学生×学生(夢主)→←妖怪×巫女(夢主)※少しホラー、グロが含まれます
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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飴(プロフ) - 吸血鬼×提供者がすごく好みです。すごく文章がお上手で読みやすかったです。これからも応援してます。 (2018年11月26日 0時) (
レス) id: d2deae9b5b (このIDを非表示/違反報告)
たぬろん(プロフ) - 百合さん» 閲覧、コメントありがとうございます！そう言って頂けてすごく嬉しいです…！私の好みと合う方が居て嬉しいです(*´ω`*) (2018年3月20日 9時) (レス) id: eeab28f01a (このIDを非表示/違反報告)
百合 - すごい好み。 (2018年3月19日 17時) (レス) id: 060a9d658c (このIDを非表示/違反報告)
たぬろん(プロフ) - らいむ@みにゆーふぉさん» 閲覧、コメントありがとうございます〜！書きたいネタが多すぎて時間が追いついていないのですが、これからも頑張ります…！ (2018年2月14日 19時) (レス) id: 84f927969a (このIDを非表示/違反報告)
らいむ@みにゆーふぉ(プロフ) - 更新頑張ってください！ (2018年2月13日 22時) (レス) id: 21081d4062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬろん | 作成日時：2017年8月6日 16時
