王子様に処刑される予定です♪ (ページ4)

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王子様とお会いしました♪ ページ4

翌日。私は王宮にいた。

感動した。おとぎ話のお城を再現しました！というような王宮。外装も内装も想像していたのより遥かに美しかった。

うーん。美の魔法を感じるね。

そして目の前には、マリンピア殿下が座っている。「王子とある程度は親交を深めておきなさい」と小声で言い残し、お父様は消えた。

私達はティーセットの乗った机を挟んで向かい合っている。

さすがマリンピアと言うべきか。お手本のような美少年っぷりだ。ぐふっ、興奮してしまう。

でもやっぱり、漫画の設定通りだね。

せっかくお美しいお顔をされているのに、その表情はピクリとも動かない。無だ。虚無の擬人化だ。

まるでよくできた人形みたい。

「殿下はお茶を召し上がられないのですか？」
「…………」

一応マリンピアが飲んだ後に手をつけようとしていた紅茶を、彼は目線で指した。

飲んでも構わない、ってことかな？

ため息をついて私は自分のティーカップに手を伸ばした。

「まあ美味しい。やはり王族の飲む紅茶というべきですかしら？とても美味しゅうございます」
「……言葉が乱れている」
「あら、失礼致しました」

ちょっと気に触ったけど第一声ゲット。漫画のイメージの重低音とは程遠いけどまるで人魚みたいに透き通った声。ぐふ。耳がとろける。

「殿下は、お菓子の方は召し上がられないのですか？」
「…………」

無言。そっちが食べないなら先に食べちゃうぞ。

マカロンにマフィン、チョコレート。これ多分全部美味しいやつ。絶対に美味しいやつだ。お菓子から「美味しいよー美味しいよー」って幻聴が聞こえる。

それじゃ、遠慮なく。最初はマカロンでいこう。

……！？

「うっっっま！何だこれっ！カリッカリの生地の優しい甘み。クリームは口のなかでジュワーって溶けて、上品ないい香りが癖になる！まるでお菓子の女王様！」

あっ、美味しさのあまり激しめの食レポをしてしまった。現実に意識を戻したら。

「…………」

マリンピアはどん引いていた。表情はなくとも、大きな黒目は哀れな者を見るそれだ。私は恥ずかしさに顔を赤らめた。

「失礼を、致しました……」
「……」

って、また無視かい。

「……城を案内しよう」
「えっ？」
「一応婚約したんだ。ある程度親交を深めておくべきだろう？」

お父様、完全に殿下に聞かれてましたよ……。