キミの時間。 ページ17
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『零さーん、起きてる?生きてる?死んでる?』
「勝手に殺すんじゃね〜よどう見ても生きてんだろ」
『机に突っ伏してる人のどこが生きてんですか』
「コロス」
『わーこわ〜い』
卒業しておよそ数年、付き合って6年目。
同居して3年目になるが明日、11月2日。その日、零さんは24歳になる。
ここのところお互い忙しく、二人きりの時間が取れなかったけれどなんとか今日を取ることができた。
「…つ〜か何の用だよ、俺は今この通り忙しいんだけど。暇なら手伝」
『それは御免です』
「ほんと何しに来たんだ…」
『いやそもそもここリビングだし…。相変わらず大変そうだねぇ』
「お前もライブの衣装作りとかあんだろ、やんなくていいのか?」
『ああ、締め切り明後日だから大丈夫だよ』
「大丈夫じゃね〜だろソレ………」
はああ、と壮大にため息をつかれた。ナンデ。
てへぺろ、なんて茶番をかませば零さんは反応せず流れる沈黙。
静かな空間にカチ、カチ、と時計の針が進む音だけが響く。
そして針が12時を向いたとともにボーンと鳴る鐘。
___11月2日。日付が変わった。
『零さん』
「あ?」
『目、瞑ってください』
「?わかった」
大人しく従う彼に目を見開く。
目を瞑った彼の顔は整っていてとても24歳には見えなかった。これを世は年齢詐欺とでも言うのだろう。
そっと彼の目に自分の手をかぶせて、触れるだけのキスをしてすぐに顔を離す。
『………っ、…』
ぱちくり、目を見開く零さん。
顔が熱くなっているのが嫌でもわかる。
___何を隠そう、今日は零さんが生まれた日だった。
「………」
『誕生日おめでとうございます、零さん。一歳老け……零さん?』
だんだん赤くなっていく彼の頰に私が笑わずにいられなくて。
『ふ、っ顔、顔真っ赤、』
「…うっせ〜な今のは反則だろ!」
なんて視線が合えばお互い吹き出す。
____どうやらサプライズ(?)はうまくいったらしい。
彼が生まれて来てくれたことに感謝を込めて、私はまた一つ大人の階段を登った零さんを優しく抱きしめた。
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作者名:あんさんぶるParty! x他3人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2017年10月31日 20時