不意鬱 ページ14
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脱力感が私を襲う。冷たい机に頬を寄せ、ぼうっと過ごしているうちに ああ、自分はやはり馬鹿なのだ と先程の出来事を思い出して苦笑した。
やらかした、そう気付くのはとても遅かった。
今日は校内ライブの日で、私は裏方の仕事に回っていた。いつも通りのパフォーマンスにいつも通りのライブ。日常的に今日もまた いつも通り に終わると気を抜いていたのが駄目だったのだ。
音源の掛け間違い、突然のマイクの故障、撮っていた放送局の機材ミス。失敗に失敗は重なって、彼らアイドルにはフォローまで入れてもらって、余計なことをやらせてしまったと酷く後悔した。
今まで頑張ったプロデュースだって、一回の失敗で観客の意識はそっちに向いてしまう。アイドルたちの歌い声よりも その裏の失敗がよく目立つ。ライブを壊したのは誰でもない私だと、誰もがそう思ってたであろう。勿論、私もそう思う。
彼らは優しい。頭を下げたって、「あのくらいの失敗大丈夫だね！問題なんてこれっぽっちもないね！」と私の頭を雑に撫で 「元気を出すといいよ」と慰めまでもをくれるのだ。音源が間違えたときは急遽ダンスも台詞も変更になったし、マイクの故障のときはなんとかパフォーマンスで時間を稼いでくれていたのだ。ほんとうに申し訳なくて彼らの顔を見ることなんて、出来なかった。
「いっそ消えたい」、今日ばかりはマイナスが頭を過る。このままこの机と同化してしまいたい。そのまま____ と考えていたとき、ガラ と勢い良く開いたドアの先にいたのはクラスメイトの朔間だった。
「……まだ残ってたのかよ」
「…朔間こそ」
まず、授業にも出ていない朔間が教室に用事なんてあっただろうか、そう思った矢先に朔間は私の机に腰掛けた。その瞬間揺れた机に私は軽く額をぶつける。
「な〜に、どうした」
「朔間だって見てたでしょ、ライブだよ」
ああ、あれね 、そう朔間は言う。恰も そんなに気にしていない という口ぶりに思わず「いいね気楽で」と言ってしまいそうになったのだ。喉の奥からふつふつと沸いた怒りは朔間に向けてではない。できない自分に向けてだ。
「まあさ、人間失敗するモンだし。そんなことで一々落ち込んでたらお前この先どうすんだよ？」
「……朔間のライブで失敗したら、朔間は怒るだろうに」
「そんな器小せ〜ヤツだと思ってんのかよ！？怒るわけね〜だろ！」
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作者名：あんさんぶるParty！ x他3人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2017年10月31日 20時
