211、手間 ページ1
「でも、今、連れていかないと、Aは」
櫻井さんが私を見た。
「盗られますか？」
私の問いかけに、うん、と頷いた。
「ただでさえ……」
「……」
「ニノ、邪魔すんなよ」
櫻井さんが振り返ってかずくんを睨んだ。
「邪魔してるんじゃないよ」
「……」
「邪魔、なんかじゃない……俺はただ」
かずくんが、泣きそうな目で私を見た。
「俺はね、Aを守りたくて……」
「その役目は俺が請け負うって言ってるんだよ、お前はあの女と古傷舐め合ってりゃいいんだよ……」
「……別れた」
「嘘つけ」
「別れたよ、潤くんに聞いてみてよ」
「どうやって？」
「他の男と結婚するんだって、その話止めてよハートブレイク中なのに」
「……お前振られたの？」
「うん」
「嘘だ、信じられない」
「……」
「……どうやって？」
「だからー、振られたの！やめてってば俺ほんと参ってんのに！」
櫻井さんの口調に、違和感。
ほんとに別れたの？
かずくんを振り返って見たら、かずくんが、捨てられた犬みたいに私を上目遣いに見た。
「もう止めて、俺傷ついてんのに……」
「……」
かずくんがじわーって涙目になって、膝を抱えた。
「……かずくん」
「ごめ、ちょっと……」
櫻井さんが振り返ってかずくんを見て、は、って笑った。
「あのさー、たかが女一人のために、普通そこまで一々動揺する？」
「……」
「もっと大切なものがあるだろ、そんなことで一々……」
かずくんが、一瞬、にや、って笑った。
……笑った。
「仕事しろよ、女のことなんて考えてる暇なんかないだろ、忙しくってさ」
「……そうかな」
「うん、恋愛ってのは人生のサイドメニューだろ、メインディッシュにするからこうやって……」
櫻井さんが私をチラッと見て、あ、って顔をした。
「家族は別だよ、A。家族こそメインディッシュなわけで」
「櫻井さんは、奥さんに恋しないの？」
「……奥さんに、恋……」
櫻井さんがふ、っと嫌悪感に似た表情を見せた。
「奥さんは、恋人ではない……？」
「恋や愛だけでは守りきれないだろう、家族のために身を粉にして働いて、守っていくことが、男として……」
「で、守るために家庭を顧みず働いて働いて、Aは慣れない生活で寂しくて、耐えきれなくて、帰りたいっていうんだ、きっと」
「……」
「かずくんに会いたいってAの声が聞こえるよ、そしたら俺すぐ迎えにいくよ、その手間省くために今引き留めてんの、ＮＹなんて迎えに行きたくないもん」
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ゆき(プロフ) - よくこれだけ思いあっててもこじれたな！と思う二人。でも、一度狂った歯車を修正するのってかなり難しい事を知ってるからなぁ…よしのさんの櫻井さん、大好きですー！冗談っぽく思わせて、実はすごく大事にしてくれるの素敵ですね(*^^*) (2015年2月19日 9時) (
レス) id: b53d5d31de (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 藤咲さん！！俳優さん！？演じてるの？演じてるつもりで本気になるの？甘い和くんの本心も気になるけど、藤咲さんも気になる！！ (2015年2月19日 2時) (レス) id: 17ee7516ed (このIDを非表示/違反報告)
すあま(プロフ) - かずくんにどんな心境の変化があっていきなり甘宮になったのか…まったくわからない…運命変えちゃうぐらい沙夜さんのこと好きとか言ってたくせに！笑 全然わからなくて、振り回されるばかりです…はやく知りたいのに終わってほしくない矛盾と戦いながら更新待ってます (2015年2月19日 1時) (レス) id: b55f372e82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷう(プロフ) - 翔さんは何か知ってるんですね(T_T)きっと好き同士だろう二人がこんなにこじれてしまったのはどうして…あたしの貧相な脳みそではだんだんわからなくなってきましたが…どんな結末が来るのか想像できず、すごく楽しみです！！ (2015年2月19日 0時) (レス) id: cab532dfd7 (このIDを非表示/違反報告)
あやな - 100%いい意味で個人的にはお返事よりも作品のお返しが嬉しいです♪櫻井さんに彼女…←やっぱり櫻井さんがいいです！どうしましょう！（笑）でも藤咲さんも気になります！2人のすれ違いはいつ終わるのでしょう(*_*)次回も楽しみにしてます！ (2015年2月19日 0時) (レス) id: 48e4c6e3d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作成日時：2015年2月16日 8時
