忘れられない２ (ページ28)

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63[side MASAKI] ページ28

「ゆーちゃんなんかどうでもいいって。それよりAちゃん」
「Aのこと好きみたいな言い方してますよアナタ」
ニノがふんって鼻で笑いながら、吐き出すみたいに言う。

「ね、人を好きになるってどんな感情？恋愛の好きってどんな？」
「はああ？なに？それ知らずにゆーちゃんすきー♪って言ってたの？はあ？」
「相葉ちゃん、なにいってんだ」

「ちょっと教えてよ。もうさ、胸がぎゅーって苦しくて、なにこれ？」
「……バカ発見……」
「どうしたらいいの？これ以上嫌われることないくらい嫌われてんのにどうしたらいいのこれ」
「……」
「ゆーちゃんとつきあえば！」
ニノが適当に答えてくる。

「ゆーちゃんと付き合ったらAちゃんまたおれんとこに帰ってきてくれる？」
「……Aちゃんがずっと側にいたことは自覚してんだ」
大野さんがぽかーんってしながら言う。

「いつも側にいてくれたよ、知ってるよ、俺が見たらすぐに気付いて笑ってくれてて」
「いなくなって初めて気付く、君が側にいてくれたことって感じの失恋ソングでも聴いておちこんできてください、さようなら」
ニノが立ち上がる。
「つめたいー！ね、コレってなに？恋ってこんな痛いの？ねえー」
「うぜー！おつかれ、店もどる！」
ニノがそそくさと戻っていく。

「マスター！どうしたらいいか教えてよ！」
「おれ、誰の恋愛も協力しないことに決めてんだ。ばかばかしいから」
「ばかばかしい……？」
「協力してもだめなもんはだめ、くっつくときはくっつくの。だから第三者はお口チャック」

冷たい。みんなAちゃんには優しいのに。

それからまた３ヶ月避けられて、クリスマスが来て、やっとやっとAちゃんに会えた。
酔っ払って、サンタガールのコスプレさせられて、すっげ可愛いって言ったらありがとうって。
「クリスマスなのに、こんなとこいてもいいの？」
思い切って聞いたら、

「大好きな大野さんと一緒だし」
って言った。

……えっとそれって？
二人がくっついて、厨房の奥のアトリエの方に入って行って、
何分か消えたりして、
ああ、そういうことかぁって。

俺と会ってない間に、Aちゃんは好きな人諦めて大野さんと付き合うことにしたのかも。
でも俺、週に５回以上、大野さんと会って話してるのに、何も言ってくれなかった。
ずるいや。みんな知ってんのかな。
知らなかったの俺だけかも。

痛い。
ため息しかでない。