忘れられない １

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お店もやっと落ち着いてきた、お昼ごろ。

「松本さん、ごはんいきません？」
櫻井さんが、店長を誘いに来た。

「ああ、そういえば、全然いけてませんでしたね、ずっと誘われてたのに」
「お忙しかったですもんね！売り上げかなり好調ですしね。お昼をお誘いしたのは、気付いたこととか、何か改善したほうがいいこととか、そういうお話をしたいんですけど、業務時間中は何かとお忙しいかと思いまして」
「お気遣いありがとうございます。行きましょうか」
「あ、ちょっと待ってください、相葉店長もお誘いしなくちゃ」

櫻井さんがお向かいのお店に行ってる。
「マネージャー独身か聞いてきてやるよ」
松本さんがぼそっと言う。

「聞かなくていいです。独身です」
「なんで知ってんの？」
「フロアの女子は殆ど櫻井さんのファンです」
あと、松本さんも人気ありますよってのは、また頭を叩かれそうだから言わない。

「お前も？」
ちょっと見下すみたいな、顔。
「いえ、私はどちらかというと、ああいうタイプはちょっと」
「へえ。意外」
「意外？」
「じゃあ、あれか、相葉さん？」

無意識に、顔がかあっと熱くなる。
なんで？
あれ？なんで？

「あれ？わたしなんで？」
「え？図星？」
「おかしいな、そんなはずないのに」
「でもそんな感じってことはそうなんじゃないの？へえ」
松本店長、こんな世間話もするなんてちょっと信じられない。
そんな混乱も手伝って、もっと顔が赤くなってくる。
顔をパタパタあおぐ。

「変なこというのやめてください」
「体は正直だな」

「なんかいやらしい話してる……」
後ろからにゅーっと相葉さんが覗いてくる。
「きゃあ！」
やだ。思わず悲鳴が。

「ちょっとちょっとセクハラはみのがしませんよ！」
櫻井さんが慌てて入ってくる。
「あの、まだですか」
二宮さんも、のそーっと入って来て、靴下を見てる。
「じゃあ、行ってくるね！寂しくても我慢してね」
相葉さんがそんな感じで言って、手を振っていく。

皆が行って暫くしたら、隣の売り場のすっごく可愛い子が、お疲れ様ですってきた。
なんだっけ。ゆーちゃんとか、よばれてた。

「お疲れ様です」
「店長さんは、どちらへ？」
「ああ、櫻井マネージャーさんと、１番です」
１番っていうのは、休憩のこと。

「櫻井マネージャーと」
なんだか意味深な感じ。
「……どうかしましたか？」
「素敵ですよね、櫻井マネージャー」

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