忘れられない １

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「……あ、ライバルだって思った？」
にこにこにこにこ。
悪意がない。全く無い。

「ちょっと思った……」
「でもお友だちだもんね。お互いにお客さん呼び合って、どっちも売り上げ上がるといいねー。負けないよー」
「まけません」
「言ったなー！」

「じゃあ、失礼します」
なんというか、慇懃無礼な感じで二宮さんが去っていく。
「またね、ニノ！なんか、楽しくなりそー」
相葉さんが手を振りながら、言う。

「相葉さん？二宮さんと、仲良くなれそうって思ったのはどうして？」
「ああ、最初ね、ニノが、新店オープンの方ですか？宜しくって言ってくれたの」
「へえ。」
「こちらこそ、宜しくって挨拶したら、俺のカバンが前からきたおばさんにぶつかって落ちて」
「はい」
「中から出たＣＤを見てね、ニノが、あ、フラゲしてるって言ったの。そのＣＤ俺発売日の前々日に買いに行ったから」
「へえ……」
「好きなんですか？とか聞いたら好きです、って話になって、今日ご飯いこうよって言ったら急にめんどくせって言い出して」
「……」
「いいじゃん、いこうよ、って言ったら、すみません。さようならって」

ああ、自分のここまでってパーソナルエリアを引いて、そこに軽々入ってくる人を拒絶する、よくあるタイプだ！
「急につめたいしさー。名前しか聞けなかったんだよなー」
「ああ、でも、ちょっと嬉しそうに見えましたけど？」
「でしょ？照れてるんだよね、きっとね」

ちょっと寂しそう。
「松本くんもそこにいて、松本くんが俺も好き、あさって買いに行くつもりだったって言ってたからね、ご飯いこって誘ったら、また今度って断られて。でも、多分仲良くなれそう！楽しみ！」

寂しがり屋さん？
全然そんな風に見えないのにな。

「Aちゃんも、今日ご飯いかない？」
え？男女問わずお誘いするタイプなんだ。
にこにこしてて、全然嫌な気はしないけど。
でもいきなり二人きりとか、ありえない。

「何時に終わるかわからないし、またオープンしてからだったら機会もあるかと思います」
「今日は無理？」
「松本が帰ってきたら準備もありますので」
「ふられたあ」

ひとりでご飯がいやなのかな。
付き合っても、いいけど。
でも、二人きりはちょっと。

悶々と悩んでたら、じゃあねって笑って、お店に走って帰って行った。

明るくて、楽しくて、人懐っこい人。
だけど、なんだかちょっと寂しそうなとこが、妙に、気になった。

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