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「義理だと思われた……」
「ああー!ダメだよ、早く訂正しなきゃあ」
訂正、しようって思ってるのにな。
全然訂正できないまま、今に至る。
「あれ、本命だったんだよって言えばいいの?」
「そうそう!」
「あれ、本命だったんだけどな……」
「いい感じ!練習?付き合うよ!」
「……」
ああ、どうしようもない。ほんと、どうしようもない。
でも雅紀くんの、鈍感なところも好きなんてホント救われない。
「雅紀くん?あのチョコね、本命だったんだよ」
「うわー!今のすっごい真に迫ってた!俺どきっとしたー!んなわけないってね?でも今の言い方でいいと思うよ!」
「……そっかあ」
「Aちゃん、好きな人とうまくいったら、お祝いしてあげるね」
雅紀くんが、屈託のない、なんの迷いも汚れもない笑顔で、言う。
ああ、泣きたい。
「うん。ありがとう」
「俺も、うまくいったら、お祝いしてくれる?」
「もちろんだよ」
「あれれ?ないてないー?」
涙目を見られて、鼻をすすって誤魔化す。
「外が寒くて、鼻がつーんってなったの!」
「ほんとだ寒いねー!はしれー!」
雅紀くんが、私の手を掴んで走る。
「はやっ!」
「Aちゃん遅っ!」
きゃははって振り返って笑う、雅紀くん。
指先から伝わる、優しい温もりに。
じわあって、心まで、あったかくなる。
すきなの、大好き。
好きだなって自覚した日から、
毎日毎日、好きになる。
ここが限界かなーってとこまで好きになっても、
はるか上を越えて、もっと好きになる。
好き。
そう思うだけで、心に羽が生えて高く高く、空を飛ぶ。
けど、雅紀くんの切ない横顔をみたら、羽がふっと消えて。
地上に落ちて、叩きつけられる。
それでもまだ、飛びたいって。空を見上げる。
あのおひさまの近くまで、飛んでいけたら。
焦がれて焦がれて、灰になっても。
あなたのそばにいるだけで。
「あ、雪?」
「降ってないよ?」
「うそ?降ってない?」
大野さんのお店に入る、少しの間、二人で見上げた空は白。
雅紀くんの横顔は、穏やかで、優しくて。
時間が、止まればいいなって。
「お金でも降ってこないかなーって感じでボケーっと空見てる、手を繋いだ変なカップルがいてお店に入れないんですけど」
「わ!ニノ!」
「何みてんの」
「雪、ふるかなあって」
ニノも、空を見上げる。
「……雪降っても寒いだけでなんの得にもならないっていうか集客も落ちるから最悪。つーかそこはやくどけや!」
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ゆう(プロフ) - 新作もとても楽しく読ませてもらってます。まーくん…無邪気って残酷。真意はまだ分からないけど切ないよう!続き楽しみにしてます(´∀`) (2014年2月20日 9時) (レス) id: 3adc06db3f (このIDを非表示/違反報告)
きーろ宮*(プロフ) - 早とちり(笑)ホントに雅紀くんゆーちゃんを誘ったと思いました(;´∀`)でも雅紀くんがそんな人じゃなくて良かったです(笑)デートするんですか??なんか進展あったらいいなぁ。 (2014年2月20日 6時) (レス) id: b02dabf850 (このIDを非表示/違反報告)
ひろこ(プロフ) - こんばんわー!二宮さんの伊達メガネを想像したら身悶えます(笑)主人公ちゃん、頑張って欲しいです!更新楽しみにしています♪ (2014年2月19日 22時) (レス) id: 86e1b9d0aa (このIDを非表示/違反報告)
なおたろ(プロフ) - わーいわーい♪緑王子のお話だ~happy!って読み出したら2年のすれ違い!!ひー!!主人公ちゃんがイケメン達に優しくしてもらってるのが救いです。でもこの切なさに耐えれば喜びが!よしのさんのツンデレの虜です♪忘れられない、私も大好きです♪ (2014年2月19日 17時) (レス) id: 8953fe45d7 (このIDを非表示/違反報告)
きーろ宮*(プロフ) - (´Д`)ハァ…どんどん切なくなっていきますね…ゆーちゃんってどんな子なんでしょう?あっでもチョココロネは大好きです!(笑)続き楽しみにしてます(=^_^=)連投ごめんなさい(_ _*) (2014年2月19日 16時) (レス) id: b02dabf850 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よしの | 作成日時:2014年2月18日 16時