忘れられない １

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「荷物、届いたか見てきます」
よし、逃げよう。うん。

店から出ようとしたら、泉さんにつかまる。
「私が行きます」

ああ。いっちゃった。
「じゃあ、ちょっとエンドのトルソー、着替えさせます」
「はい」

とにかく、逃げる。いつか気付かれる。雅紀くんが好きだってこと。

雅紀くんが、あの子に笑いかけてるのをみて、はあ、ってため息がでる。
見なきゃいいのに。
そうだ。見なきゃいいんだ。

なのに。自然と、目が彼を追う。もうどうしようもない。
ちょっと、悲しそうな目でみるから、余計。

店長が、うまかったー！って御機嫌で戻ってくる。
「今日は、唐揚げだってさ」
思わず、雅紀くんを見る。

今日唐揚げだって！やったね？
って言いたいのに、雅紀くんの視線は、あの子に。
ああ、まただ。

「……なあ、前から言おうと思ってたけど、お前ってバカだよな」
「むうう！どういう意味ですか！」
「いや、自分で気付かないくらいバカなんだから何もいえねーわ」
「何ですか！」
「いや、もういいよ、バーカ」
「どうしてですか！」
「こんないい男がすぐ横にいるのに？まあ、お前に惚れられても100ｍ10秒切るくらいの速さで逃げるけど」
「100ｍ９秒台で走れるんですか？」
「いろんな意味でバカで気の毒で手に負えない」

笑いながら私のトルソーを奪う。
「やっとくから飯行って来いよ。俺と翔さんはもう食ったし、ニノと、もう一人の残念な人と行ってきたら？」
「もう一人の残念な人……」
「相葉さん。ほら来た」

「Aちゃん！ごはん行こ」
「はい、じゃあ、行って来ます」
「……Aちゃんには平気でご飯いこって誘えるのになー」
「私がともだちだからでしょ？」
「親友だよね？」
「どうかな？」
あははって雅紀くんが、笑う。

ちらっと、あの子を見て、上手く行かないなあって呟く。
「ゆーちゃんと？」
「……えええ？何が？」
ああ、誤魔化すのへたくそだなあ。

「気付かないわけないでしょ、うちのパートさんでも気づいてるのに」
「うっそ！」
「結構、有名だよ、このフロアでは」
「まじー！うそー！」

恥ずかしそうに、顔を覆ってる。
「知ってるんならさ、相談乗ってよ」

え。やだよ。絶対やだ。

「Aちゃんの恋愛相談も、のってあげるから」
「……うーん」
「まだ片想いしてんでしょ？告白しなかったの？バレンタインのときとかー」
「チョコあげたよ」
「うっそ！」

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