18.お買い物 ページ18
結局、お買い物は、下着売り場の近くでお金を貰って、逃げないように松本さんに離れたところから見張られるという状態で買い物。
松本さんってばれないかしらってより、下着売り場付近で怪しい男発見って通報されないかしらって、そっちのほうが心配。
「……あの、あのこっちを見てる人は」
勿論店員さんに気付かれる。
「ああ、ボディガードです」
とか、適当に答える。
食料品売り場で歩いていると、やっぱりカッコいいオーラを放ちすぎてるせいか、すれ違う人が見ていったりする。
帽子を深くかぶってマスクしてるし、俺に話しかけたら殺すぞみたいなオーラが出てるから、みんなカッコよさそうな人ってみるだけ。
「二人で歩いてて写真撮られたりしませんか」
「別に何も疚しいことねーんだからいいだろーが」
「まあそうですけど」
「お前が俺に惚れない限り、お前は来年死ぬんだし」
「あ、そうでしたね」
高級なお肉を買ってる姿を見て、おおおお！と目を輝かせてたら。
私をちらっと見て、はあああ、とため息を吐いた。
「食欲そんなあるのに生きる気力ねーなんて嘘だろお前」
「生きる気力と食欲は別！」
「夜のほうの欲はどうなってんの」
「女にはその気おきませんね、残念ながら」
「男は？」
「全ての男は敵に見えてますけど？」
「俺も？」
「お肉買ってくれたから世界中の男性の中では今のとこ一番です」
すっごい小声でぼそぼそ話す。
「新しい恋でもして再出発したほうがいいんじゃね」
「そうですね、生まれ変わったら今度は素敵な男性探します」
「生まれ変わる前に何とかならねーの」
「……それなら牛と恋に落ちたほうがマシ」
「牛肉？……ケンタウロス……」
「ケンタロウ？」
「それだれだよ」
小声で何話してるんだろ、私たち。
でも、なんだか楽しくなってきた。
「実際、男性不信になる前だったら５人の中で誰が一番って言った？」
「嵐さんで？」
「うん」
「…………あのね、」
「おお」
私の顔をじいっと見る。大きな目。
「じつは」
「おお」
「言い辛いんですけど」
「おお。言え」
期待に満ちた目。言いづらい。
「わたし、松本さんの……」
「……」
「お友だちの……とある俳優さんがとっても大好きで」
「……」
「今は、男性みんな敵ですけど」
「それ誰か言うなよ」
「どうして？」
「友だちを嫌いになったらどうすんだ！」
「えええ？何それ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2013年11月10日 21時
