モツ鍋の日は11月7日 ページ42
私の心がゆらゆらと動いているのにも全く気づかずに。
櫻井さんはテレビのニュースをみて、また審議拒否かぁ、与党の強行審議と見るか野党のボイコットと見るか……どう思う？
なんて聞いてきたりした。
バカみたいな話も、こういう政治経済の話も生活の中で同時に成り立つ関係性って心地いいなぁなんて思ってため息が出た。
これ以上ここに居て、幸福に慣れてしまうのは危険だ。
さっさと片付けて、自室にこもることにしよう。
「櫻井さん、お風呂いただきます。そのまま先に休ませてもらいますね」
「あ、……おやすみ」
「おやすみなさい」
「あ、そうだ」
櫻井さんが慌てて私に声をかける。
「どうしました？」
「明日も朝早いから。7時半には出る」
「はい、わかりました。和食と洋食どっちがいいですか？」
「パンとかでいいんだけど」
「ではパンケーキは？」
「パンケーキ！いいの？」
櫻井さんが目をキラキラさせた。
何その目！
「飲み物はソイラテ？カフェラテ？」
「じゃあソイラテ！」
あーあ、櫻井さん。
私が櫻井さんを狙ってたとしたらもう完全に胃袋掴んじゃってる状態じゃないか。
「明日の晩御飯どうします？」
「遅くなるけど……少し飲みたいから軽く何かあったら嬉しいなぁ……」
「わかりました」
櫻井さんが目に見えてデレデレした。
私のこと食いしん坊とかいう前にご自分が絶対食いしん坊。
まぁでもグルメのアカウントで出会ったから……あ！
「しまった！櫻井さん！私としたことが！」
「えっなに！」
「モツ鍋の写真撮るの忘れてました……！おにぎりなのに失格……！」
「あはは！仕方ねーな、また次回取り寄せしたときにでも撮ったら？」
「次回？」
「半年に一度くらいのペースで食お？」
「……ふふ」
櫻井さん、半年後に私がいなくなることわかってて言ってるのかな？お友達としてこれからもおつきあい続けてくれるのかな？
「モツ鍋の日、作る？」
「モツ鍋の日？あは」
「毎年モツ鍋の日は一緒にモツ鍋食う日にしようよ……」
櫻井さんが寂しそうにポツリと呟いた。
「いいですね」
「まって。びっくり。モツ鍋の日ってのがある。11月7日だって」
「えー！そんな日があるんですか？」
「じゃあ次はその日にする？」
櫻井さんが探るように言う。
ああ、わかって言ってるんだ。
契約満了後もお友達になろうってことなのかな？
「次は塩ですよ、その次は味噌！」
「はは！了解！」
櫻井さんが嬉しそうに笑った。
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さや(プロフ) - よしの様！2章お疲れ様でした。凄く丁寧に描写頂いて楽しいです！個人的には長編嬉しいです。毎回思います。終わらないでほしいと…では、また3章に行ってきますm(__)m (2021年6月23日 20時) (
レス) id: 04f741953d (このIDを非表示/違反報告)
ukyo(プロフ) - モツ鍋の〆と、その先が気になります。お互いの何となくな感情が苦しいですね。続き楽しみです。 (2021年6月21日 4時) (レス) id: fa3b80409d (このIDを非表示/違反報告)
JPN39(プロフ) - まさかのほくろの位置と顎の傷がドンピシャで自分と一緒でいつも以上に妄想に力が入りましたごちそうさまです！！！よしのさんの小説読んでると自分は櫻井担なんじゃないかと思い始める相葉担より(つまりよしのさんの小説大好きです←これが言いたかった) (2021年6月20日 21時) (レス) id: a734455ab7 (このIDを非表示/違反報告)
Kewpiechan(プロフ) - あー苦しい。ちと切ない。感情移入しちゃって大変です。よしのさんの書かれる文章大好きです。 (2021年6月20日 21時) (レス) id: 9442e8a7d3 (このIDを非表示/違反報告)
あきこ(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！よしのさんの作品、何度読んでも大好きです！！ (2021年6月20日 19時) (レス) id: 4cb7b4484f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年6月6日 8時
