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「櫻井くん？」
「ん？」
「彼女、ここに来ないの？」
「うん」
「……え？どうして？」
「うちなんも無いし」
「……」
「炊飯器はあるけど米はない、フライパンはあるけど油も調味料もない、冷蔵庫には飲み物しか入ってません」
櫻井くんがちょっと自慢げに言った。
「……」
「ここには基本、寝に帰るだけ」
「彼女の家に行くってこと……？」
「まぁそういうことになるかな」
「彼女独り暮らしなの？」
「……何？俺の彼女の話しにきたの？」
櫻井くんがちょっと不機嫌になった。
「別に…聞きたくないけど。気になったから」
「何が？」
「女の気配がまったくないから」
「女の気配？なにそれ」
櫻井くんが不思議そうにした。
ソファに座れるようになったから、櫻井くんがこちらにどうぞって言ってくれた。
いや、もう床でいいや。ふわふわのラグマット敷いてあるし、床暖房だし。
「床暖かいからここがいい」
「俺もつい床に座る」
なんとなく笑い合う。
櫻井くんがスーツからジャージっぽい格好になった。かわいい。
「女の気配って何？」
「女はマーキングするからね」
「マーキング？」
「これは私の男です、って匂いをつけたがる」
「いーちゃんみたいなこと？」
「あ、そうそう！」
あはは！って笑ったら、頭を痛くない感じにパコリと叩かれた。
「俺の前で無理しなくていいよ、なんか飲む？」
「飲み物しかないなら買い物してくれば良かったね」
「……」
「櫻井くん？」
「俺が後で行くからAは家で待っててくれたらいいよ、チャリで行く」
「自転車あるの？意外！」
「え？そうかな」
「意外だよ！」
「大学時代から独り暮らししてたからその遺産」
「大学時代から？にしてはやっぱり彼女の気配がないよね」
「……俺昔から女家に連れ込まないタイプ」
「なぜ！若い頃とかは普通連れ込んで半同棲みたいにならない？」
意外すぎて顔を見る。
「……居座られても困るし」
「お。プレイボーイのセリフ」
「茶化すな」
櫻井くんが苦笑して、あーあ、と言った。
「なのに連れて帰ってきちゃった……どうしよ……まあいっか、こいつ男友達みたいなもんだし」
「……はぁ……」
「でも女の顔も知っちゃってるからなぁ、どう接すればいいんだろう……」
「心の声漏れてません？」
「ああ、Aは避難に来たんだったなそういえば。てことはここは避難所……あ、ビスケット賞味期限きれてるかも……！」
櫻井くんの心の声がおかしい。
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みい(プロフ) - よしのさんの書くお話、雰囲気というか、世界観というか、とにかく大好きです。どっぷりと感情移入しながら一気に読み切ってしまいました。続きもこれから読むのが楽しみです！ (2021年8月23日 1時) (
レス) id: d3369a3b66 (このIDを非表示/違反報告)
もここ*(プロフ) - 続きが気になって、イッキ読み。よしのさんのお話読めてしあわせ。よしのさんの描く女の子のようになりたいと、いつも思います。憧れです。続きも楽しみにしています( *´艸`) (2021年3月3日 1時) (レス) id: b403a3e65f (このIDを非表示/違反報告)
SUU(プロフ) - 無の証明大好きですが、新しいお話もめちゃくちゃ良かったです。最高でした！よしのさんのお話を読んでいると、指先まで甘く痺れてくるような不思議な感覚のせつなさが伝わってくるんですよね。わかりにくくてすみません。これからもずっとファンです。 (2021年2月13日 13時) (レス) id: 3781250d3f (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 翔くんのお話が好きです！そして、ヤンデレだと興奮します。つまり、翔くんのヤンデレが見たいです。バッドエンドで！w (2021年2月12日 1時) (レス) id: 9047bc9b5d (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - はぁ〜面白かった(*´-`)もうね、くっつく事はわかってました。職場の皆様と同じです(*´∀｀)ただ、違うのは経過を知れると言う喜びですよね。現実には当人同士にしか知り得ない事なので楽しませて頂きました。よしのさん、本当にいつも作品を産んでくれてありがとう。 (2021年2月11日 0時) (レス) id: 96f199fab2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月2日 7時
