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またドライヤーで私の髪を乾かしはじめた。
どういうわけか、顔が上げられない。
しばらくして、櫻井くんが私の頭をぽん、と叩いてドライヤーを切った。
「これでいいかな……」
「ありがと……」
「世話の焼ける……」
「ごめん」
櫻井くんの手。
櫻井くんの香り。
背中から伝わる体温。
櫻井くんの吐息。
櫻井くんの。
「A」
「ん？」
「お前本当に大丈夫？」
「なにが？」
「彼氏の浮気だよ」
「ああ！大丈夫だよー、全然平気だもん。櫻井くんもご存知の通り今頃浮気相手と、あんなことやー、こんなこと……」
「そこまで言わなくていい」
言葉を遮られた。
「……うん」
「平気だって思っててもダメージあるに決まってんだろ、バカ」
「……」
「無理すんな」
櫻井くんの優しい声が心地いい。
「ありがと」
「ん」
バスルームにドライヤーを片付けにいく櫻井くんの背中から何故か目が離せない。
「……だってさ、12年でしょ？俺とお前は7年だけどさ、たかが友人関係でも離れるとなったら寂しくてキツイもん俺」
「……」
「うちはあんま転勤とかないけど……親会社に出向はあるわけじゃん？そうなったら……ほとんど会わなくなるよな」
「……え。なんで？」
「仕事帰りに飯行こーってのができなくなるだろうし」
「でもご飯くらい待ち合わせしていこうよ」
「仕事帰りってのはもう無理だろ」
櫻井くんが戻ってきてアハハ、って渇いた笑いを見せた。
「え、やだよ……行く」
「無理だよ、遠い」
「仕事帰りが無理なら休みの日とか……」
「無理無理。だって俺たちはお互いにただの友達だと思っててもさ、周りから見たら一応男と女でしょ？」
「……それが何よ……」
「休日待ち合わせして飯行くなんて傍から見たら完全にデートじゃん」
「いいじゃない、デートしようよ」
「いやいや、それは無理だろ、お互いパートナーに失礼でしょ」
「……え、会えなくなるの嫌」
「俺だってやだよ」
なんとも言えない感情がこみ上げてきた。
友情と称するに余りある。
櫻井くんが好きで好きで仕方ない。
離れたくないしずっと一緒にいたい、これが恋かどうかなんて関係ないよ。
ただ好きなだけなのに。
恋愛感情の行き着く先があなたがほしい、独り占めしたいという感情なのだとしたら、友情の行き着く先はどこなんだろう？
そばにいたい、あなたの力になりたい、一緒にいて楽しいことも悲しいことも共有して、そして笑いあっていたい。
それすらできなくなる？
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yuuuuuuuuri1226(プロフ) - 8ページの深呼吸のところが新呼吸になってます！ (2021年3月7日 0時) (
レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 更新に全く気が付かず出遅れるとは！越えたかー！越えてしまったのかー！ここから友情に…むっ難しい…どうなるんだろうか…ドキドキ (2021年2月1日 23時) (レス) id: b75159ca86 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - キュンが止まらなくて困りますよこんなの！次も楽しみにしてます！！！！ (2021年1月31日 16時) (レス) id: 1b6c03fa67 (このIDを非表示/違反報告)
さと(プロフ) - もうドキドキが止まらない！サイコーです。よしのさんありがとう！ (2021年1月31日 16時) (レス) id: 97bb53cb68 (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - よしのさんありがとうございます！！翔さんありがとう！！切ない気持ちがまたいいですね！移行通知くるの待ってますね(^^) (2021年1月31日 12時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年1月25日 0時
