16 ページ16
「いい匂い」
「ハイどうぞ」
「サンキュ。俺が今すげーコーヒー飲みてーってなんでわかった？」
「なんかそんな気がした」
「以心伝心ですか」
「櫻井くんと以心伝心やだわ」
「なんでだよ」
椅子に座る。
「転送する」
「ほい」
送られてきた内容をざっと確認。
「小さいのは私やる」
「助かる」
「これはやりたくない」
「どれ？」
「これ。結婚式場だけは嫌」
「んでだよ……」
「結婚式場は自分も参考になるんじゃない？ついでに下見すりゃいいじゃないの」
「下見に行く相手がA……」
「お気の毒様、彼女にはごめんって謝るわ」
「お前も下見が俺でお気の毒様、彼氏に謝りましょうか？」
「あー、櫻井くんが謝る相手はもういないから気にしなくていいよ」
「は？別れた？」
「まだ。浮気してるのを泳がせてる」
「……」
一瞬訪れた沈黙。
暫く二人で依頼書を確認する。
「結婚式場は納期まだ少し先だし後回しだね」
「うん……」
「ギリギリなのは……新築マンションかぁ、このエイトフーズさんもギリギリ。すぐやらないとプログラマーさん徹夜になっちゃう」
「A」
「何？」
「大丈夫？」
「任せなさい」
「いやいやお前の仕事は心配してねーよ！信頼と実績がありますからね」
なんだよー！デレデレ。
「ありがとう、櫻井くんに褒められると嬉しい、がんばるー」
「いやだから！」
「なに？」
ヘラヘラしてたら櫻井くんがため息を吐く。
「いや、元気そうだからもういいや……」
「あ、体調？もう平気だよ、昨日死ぬほど寝た、帰ってバタンキュー、ご飯食べてまたすぐ寝た、寝すぎよね」
「……」
櫻井くんの複雑な顔に疑問を抱きつつ、二人でさっさと仕事を分担して取り掛かることにする。
「櫻井くん指名のお仕事、私をアシスタントって紹介しといてね、櫻井くん不在のときは私ってことに……」
「Aをアシスタントに使うなんて畏れ多いよー、いいのかよー」
「いいのよ、これ美味しい仕事だから課長ってば絶対に契約継続できるようにしたいんでしょ、最初が肝心だしね」
「……」
「ん？どうしたの？」
櫻井くんがガタンと立ち上がって私の横にストンと座った。
「なに……」
「無理すんなよお前」
じーっと顔を覗き込んできた！
お肌乾燥してるのに！
「えっ…………何か優しい怖い」
「はぁー……バカ」
全身全霊でため息を吐く同期の背中をトン！と叩く。
「ありがと」
「ん……」
櫻井くんがもう一度ため息を吐いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1894人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuuuuuuuuri1226(プロフ) - 8ページの深呼吸のところが新呼吸になってます！ (2021年3月7日 0時) (
レス) id: a7c2ae121f (このIDを非表示/違反報告)
コズ(プロフ) - 更新に全く気が付かず出遅れるとは！越えたかー！越えてしまったのかー！ここから友情に…むっ難しい…どうなるんだろうか…ドキドキ (2021年2月1日 23時) (レス) id: b75159ca86 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - キュンが止まらなくて困りますよこんなの！次も楽しみにしてます！！！！ (2021年1月31日 16時) (レス) id: 1b6c03fa67 (このIDを非表示/違反報告)
さと(プロフ) - もうドキドキが止まらない！サイコーです。よしのさんありがとう！ (2021年1月31日 16時) (レス) id: 97bb53cb68 (このIDを非表示/違反報告)
shi(プロフ) - よしのさんありがとうございます！！翔さんありがとう！！切ない気持ちがまたいいですね！移行通知くるの待ってますね(^^) (2021年1月31日 12時) (レス) id: 4f699932a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年1月25日 0時
