エピローグ ページ37
京都観光行きたかったのに。
大野さんは怪我が治ってから彼氏と行きなさいって冷たく言った。
彼氏ってどんな嫌味よ！
もう何年もいないよ！
左肩を打撲してずっとズキズキしてる私と、あまり体調が優れなかった松本さんと、どこも行きたくないと言った二宮さんと三人でホテルに戻る。
「ごめん、俺ちょっと横になってい？」
松本さんがフワフワしながらベッドに倒れ込んだ。
額に触る。
熱っぽいな。
夏風邪かな。
前から少し思っていたけど、松本さんは霊をたくさん見たらとても疲れるみたいだ。
私もそう。
めちゃくちゃ糖分を欲するというか。
だるくて眠くて仕方ない。
二宮さんに松本さんの様子を見てもらうことにしてドラッグストアに買い物に行く。
冷えぴたと薬を適当に買って、ついでにスポーツドリンクとかプリンとかをカゴに入れる。
部屋に戻ると松本さんが具合悪そうにしどけなくうつらうつらしていて、あまりの色気に頭痛がする。
「松本さん、薬飲む？」
「ありがと、お前は？肩大丈夫？」
「痛い……腹立たしい……」
「どうなってんの？」
「すごーい腫れてる、骨折れてはなかったけど骨挫傷かもしれなくて、レントゲンじゃわかんないから東京戻ったら検査受けることにする」
二宮さんが手にゲームを持ったまま私達の会話ににゅーっと入ってきた。
「そんな酷いなら、買い物俺が行くべきだったかな？」
「そうだよね！」
「うふ」
くっそう。
可愛い笑顔でごまかされた。くっそう。
松本さんに冷えぴた貼って、薬を飲ませて、私も痛み止めを飲んでテレビを見ながらボーッとしてたら取り調べからみんなが帰ってきた。
「ただいまー、疲れたー」
「おつかれさまー」
「あれ？松潤は」
「具合悪いみたいで寝てるの」
私がそう言ったら櫻井さんが寝室を覗く。
「薬……冷えぴた。飲み物もある。買ってきてくれた？ありがとう」
なんでいつもこの人がお礼言うんだろう。
いつもそう。
自分がみんなのことを気にかけなきゃいけない、って思ってる。
お母さんみたい。
「河東どうだった？」
二宮さんが大野さんに聞く。
「自供してるんだけど、どうも他人事みたいな話し方してんの。夢の中の出来事みたいな……？乗っ取られてたから？」
「乗っ取られるのも慣れが必要だよね、ね、A」
二宮さんが急に私に話しかけてきた。
「ナニソレ嫌味ですか」
「イイエ」
「二宮さんはプロですもんね」
「ナニソレ嫌味？」
「イイエ？」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年3月5日 16時
