〇≠無の証明Ⅳ－４ (ページ28)

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「じゃ、河東の事情聴取……」

櫻井さんが言いかけたその時。
ピーン、と嫌な音がして、どん、と何かが爆発するような音がした。
皆が咄嗟に身を伏せる。

「……なんの音！」

爆発音が治まった後パラパラ、と劣化した天井や壁の塗装が落ちる。
砂埃。
ケホケホ、と咳をしながら階段の下を見たら、二階の非常口のドアがひしゃげてる。

「これもあんたがやったの？」
河東に聞いても、ぐったりしたまま動かない。

「なんか仕掛けてあるなと思ったけど、ドア開けてたら下手したら死んでたな」

あはは、と大野さんが笑ってる。
笑い事じゃない。

「ちょっと、……早く出たほうがいいんじゃない？」
松本さんが焦ったように言う。

「……え？」
「変な音がする。ミシミシって」

たしかに。
この音。

「倒壊したりしてね？」

相葉さんがひきつった笑いでそう言った。

「……早く出よ！」

二宮さんがタタタタタ！と走り出す。
私も慌てて後を追う。

櫻井さんと相葉さんと松本さんが河東を引きずるように引っ張って、その後ろを大野さんがのんびりついてくる。

二階に降りたら、非常口のドアがひしゃげていて、外についていた階段が崩れてしまっているのが見えた。
階段が外側に向かって崩れ落ちようとしていて、それを亀裂の入った壁がかろうじて支えている状態だ。
けど、その壁も斜めに入った亀裂がズズズ、と少しずつずれている。
ミシミシっていう音はこのせいだったんだ！

これやばい。

「急いで！二階からは出れない！」
後ろに声をかけたら、おお、って櫻井さんが返事した。

一階に降りたら、開けておいたはずの一階の非常口の前に階段の下の部分が完全に落ちていて出口が塞がれている。出られない！

「うっそ！」

二宮さんがポカーンとした。

「正面玄関は？」
二宮さんが私を見た。

「無理だよ、開かない！」
「他に出れるとこは？」
「待合室の窓！」

みんながついてきてるか確認して、待合室に向かって走り出す。
マサトシくんと一緒に飛び出した窓！

外の雨が窓から入ってきていて、滑りそうで怖い。

二宮さんが振り返った。

「A、先にいけ」
「……あ、そうだ、私、左手動かない！」
「は？」
「左肩、まったく力入んないの！」
「……椅子で支えるから！窓枠に乗って飛び降りて！それならできる？」
「うん」

二宮さんが慌てて椅子を引きずってきてくれた。みんなも走って来た。

その時。
非常口の方から、ガガガ、と大きな音がした。