逃げる女と犯人 ページ33
想像していた通り。
10分後、石田くんが戻ってきた。
はぁ、というため息を押し殺す。
迷い無くラボの前に歩いていく石田くん。
私が隠れていることも気づかずに。
カメラで石田くんを撮影する。
ラボの前でスマホを取り出して、カメラロールを確認してる。
ラボのパスワードを入力した。
その後ろ姿を全部撮影した。
ウイーン、と音がして自動扉が開く。
恐る恐る中に入る石田くんを確認してから急いでラボに行って、間違ったパスワードを3回、入力した。
『ロックされました。係員を呼んでいます』
警告音と警告のアナウンスが流れる。
これでしばらくはこの自動ドアは開かないはず、なんだけど。
……え！開いた！
中からは開けられるの？
嘘だ。そんなことある？
普通どっちもロックされるもんじゃないの？
まずい、ここに居たら見つかる。
慌てて逃げる。
「誰だ！」
石田くんの怒号。
「どこにいる？誰がやった？」
見つかったらどうなる？
石田くんが犯罪者だとしたら、
目撃者を、どうする？
私なら。
見たことを後悔させる。つまり、口封じ。
手っ取り早く、そこの窓から捨ててしまうかもしれない。
石田くんがどれほどの悪党なのかわからないけど、もし想像できる一番最悪な組織と繋がってたら。
見つかったら綺麗に消されるだろう。
あとかたもなく。
思わず企画部に逃げ込んだ自分にバカ！と殴りつけたい。ここじゃ見つかる。
「足音聞こえたぞ……誰だ？どこにいる？」
石田くんが企画部の中に入ってきた。
どうしよう。
とりあえず、見えないとこに逃げなきゃ。
四つん這いで、そっと逃げる。
しずかに。しずかに。
椅子を引いたままの机を見つけて、その中に隠れた。
ガタン。石田くんが机の下を覗きこんでるような気配がした。
ガタン、ガタン。
一つ一つ机の下を確認してる。
だめだ、みつかる。
それなら、一か八か。
石田くんが出入り口から一番離れた瞬間に。
走って、逃げる？
どきん、どきん。
ゴクリ、と息を呑む。
石田くんから見えないように気をつけながら、いつでも走り出せるように机の下から這い出た。
キイ。
びくっ、と体が震えた。
スカートに椅子が引っかかって椅子のキャスターが軋んだ音がした。
「そこにいるな？」
がた、サッサッサッ。
近づく足音。
もうだめだ。
見つかる。
走って逃げる？
「誰だ！」
もう、だめだ。
足に力が入らない。
へたり込んだまま、後ずさる。
壁が背中にぶつかった。
もう逃げられない。
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いろは(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！！TwitterのフォローをさせてもらったのですがDMが送れずこちらから送らせてもらいます。SUZUIROというアカウント名です！ (10月5日 20時) (
レス) @page47 id: 7b03d9df09 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 完結、おめでとうございます！よしのさんのお話はいつも楽しく読ませていただいています！ (2020年3月25日 20時) (レス) id: 29ae961861 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - よしのさん、こんにちは！とにかく、とにかーく面白かった！一気読みしました！久しぶりに朝方まで（徹夜に近い）読んでいました。もう本当に読むのが楽しいってこういうことなんだって思いました！ (2020年3月10日 11時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - おもしろかったー！一気に読みました！読後感がスカッと爽やか(^O^) ありがとうございました！ (2020年3月1日 9時) (レス) id: f390aacf74 (このIDを非表示/違反報告)
mikoto020707(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしてました。終わってとても寂しいです。両思いになってからも櫻井さんが振り回される続きが読みたいです。よろしくお願いします。 (2020年2月27日 9時) (レス) id: 285ed8c737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年2月11日 8時
