行方不明者(03/01) ページ32
病院についた。
櫻井さんと受付に行って、この病院のことに詳しい方にお話をうかがいたいと言ったら、事務の女の子全員がサトウさん、と言った。
「おまたせしました」
神妙にしているけど刑事から話を聞かれることにちょっとワクワクしてることが心を読まなくても全身から溢れ出てる。
どこか話ができるところは、と言ったら事務局のちいさな倉庫みたいなところに通された。
「ここ、事務所の資料整理とかでたまに使うんですけど。狭いしごちゃごちゃしてますけど良かったら」
「ありがとうございます」
お互いに自己紹介をして、パイプ椅子に座って向かい合う。
「差島さん。今からお聞きする内容は他の方には内密にお願いします」
「もちろんです！」
櫻井さんの言葉にブンブンと頷いてる。
「差島さんはここで仕事されてどのくらいですか？」
「結婚する前からです。途中で出産とかで休みましたけど、その他はずっとここで働いてました。37年かな」
「長いですね！失礼ですけどおいくつで……」
「今57です。この病院では私が一番ながいんとちゃいますかねぇ。長いだけが取り柄です」
差島さんはちょっと威張った。
なんか憎めないタイプの人だな。
「まず先に、我々がここに捜査に来たことについてざっくり説明させていただくと」
「はい」
「あの旧館で……原因不明の事故が相次ぐ、ということで……院長のご親族より原因を調べるように依頼されました」
「元大臣の渡邊先生ですか？そらそうでしょうねぇ、今ほら、勢いのある党から新人二人出すーって話で次の選挙大変らしいですしね」
……この人何でも喋ってくれそうだな。
櫻井さんが私に心で話しかけてきた。
「でも、なかなか工事が進まない。理由はご存知ですか？」
「ああ。幽霊……ですよね？」
差島さんは誰もいないのに周りを見渡して声をひそめた。
「やはり、ですか」
「ええ、ええ。色々噂は聞いてますよ」
「例えば？」
メモを開く。
「一番有名なのは、子供の霊。男の子ですね。多分昔あった池で溺れ死んだ子の霊」
「……溺れ死んだ？」
「そうなんですよ、もう60年くらい前からの噂ですよ。私が小さい頃から聞いてましたから」
「差島さんはこの辺の出身なのですか？」
「ええ、生まれも育ちもここです、だからいつも母から話を聞いてました、鎌を持った男の霊がいるから旧館には近づくな、って」
「鎌の男……」
「はい。なのにここに就職しちゃうんですけどね」
差島さんがはにかむように笑った。
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にのきょん(プロフ) - 終わるのが悲しすぎるくらいにこのお話大好きです。10回以上は読んでるので最近櫻井くん達と一緒に謎解きしちゃってます笑笑 (2020年3月3日 14時) (
レス) id: 2efb088670 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - よしのさんのお話はドラマ化して欲しい…頭ン中では勝手にドラマ化してますけど実写で見たいです。 (2020年3月3日 7時) (レス) id: aab6d8833f (このIDを非表示/違反報告)
まどか(プロフ) - 待ってましたぁぁ！！主人公と櫻井さんの、このもどかしい関係がたまらず夜も眠れません。徐々に核心に迫っていくストーリーにもワクワクが止まりません。最高です大好きです！！次の更新も楽しみに待っております…！！ (2020年3月3日 4時) (レス) id: 5cdf0b4209 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 結末が気になりすぎちゃうので、よしのさんのお話は完結してから読むようにしています。読むのとても楽しみです(^^)無理せずに更新してくださいね！ (2020年3月2日 21時) (レス) id: df1a3da33b (このIDを非表示/違反報告)
リノ(プロフ) - ドキドキしましたァー！更新嬉しいです！ありがとうございます！これからも無理せず、けれども遅くなりすぎずにお願いします！ (2020年3月2日 17時) (レス) id: d31a60eebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年11月6日 8時
