怪しい女と王子 ページ39
エレベーターの件は、吉田くんから聞いていた実は試されていた、という情報を教えたら櫻井さんがマジかよ……とまたシートに身を沈めた。
「西鉄丸尾に試されてた？」
「それで売上に繋がったんだからいいじゃないですか」
「ちょっとムカつくけどまあいいか」
櫻井さんがため息を吐きながら外を見る。
「あ、ここで下ろしてください。領収書貰えますか」
櫻井さんがタクシーの運転手さんに話しかけていて、ここはもう素直に奢ってもらうことにした。
タクシーから降りてこっち、と案内される。
なんかお高そうな立派なお店。
「……おしゃれ……」
「うん……あ、予約した櫻井です」
蝶ネクタイしてる店員さんが来て、お待ちしておりました、と言って案内される。
「いいお店……」
「でしょ？女の子を口説くときのお店」
「櫻井さんの場合、口説かなくても勝手に落ちるでしょ？」
「うん、だから俺は使わないよ、必要ないもん」
なんて奴だ。
つい冷たい目で見上げたら、うそうそ、って笑ってる。
何が嘘だ。
席に案内された。
一応こういう席のマナーは知ってるとはいえ緊張してしまう。
お席は庭が見える窓際で半個室になってる。
席と席が離れてるから誰かに聞かれる心配もなさそう。
櫻井さんが席につくなり、今日のオススメ宜しく。ちょっと話したいから先にシャンパン持ってきて。と店員さんに言う。
スマートだな。
席についたら櫻井さんが、ふ、と笑った。
「どこから話そうかな」
「……まず怪しい人の名前から教えてほしい」
「営業に3人いる。川嵜、猪上、黒田」
黒田。石田くんが言ってた人か。
「うん、それで？」
「経理に一人。伊澤」
「うん。開発は？」
「うーん……中西……は調子いいだけのやつかも……、だから三角」
「その判断の基準は？」
「そこにいないはずの場所にいきなり居たり、知らないやつとコソコソ話してたり、まぁ、なんとなく気になるというか」
「……」
「あと、麻倉かな。怪しいのは」
麻倉って私かよ。
「誰とも仲良くならずに人当たりもよく、真面目に仕事してるけど何か嗅ぎまわってる感じがする人が怪しいとしたら」
「うん」
「私が一番怪しい。わかる」
「だろ」
櫻井さんが笑う。
シャンパンが運ばれてきて、乾杯した。
「Aはお酒は何が好き？」
「焼酎ソーダ割りかな……？」
「じゃあこんないい店じゃなくてもいいってこと？」
「肘ついて飲める立ち飲み屋のほうが好き」
櫻井さんがまた吹き出した。
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susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
